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2話

「ホーリー頼みがある」


王妃から誘われて登城すると私は彼女自慢の庭園へと誘われたのだが、悪い予感しかしていなかった。

彼女は何かというと私を呼んで無茶を言う、その時は必ずこの庭に案内されるのだ。

一口お茶を口にしてカップをソーサーに下ろした時に、この言葉を言われても、慣れっこになってる私は「あぁまたか」としか思わなかった。

苦笑しながらいつものように王妃に訊ねる。


「今度はなぁに?姉様」


私は王妃をプライベートでは“姉様”と呼んでいる、公の場では不敬だけど、あくまでも庭園(ここ)にいる時はプライベートと分類できるのだからご容赦を!

因みに王妃の言うホーリーとは私ホリシオンの愛称である。

そういえば王妃も私の母を“姉様”と呼ぶ、年は母の方が一つ年下にも関わらずであるが。


「そんなに何度も願い事をしていたか?」


その返事には驚いた、彼女は自覚がないらしい。

そして今日はいつもと頼み方が違うのが不思議だった、何時もは有無を言わさず要件しか言わない。

「頼みがある」なんて言われたのいつぶりかしら?

王妃は私に今まで幾つ頼み事をしたのかをブツブツ言いながら数え始めた、心底如何でもいい行いだ。

それを察した後ろに控える宰相が「ん、ん、」と咳払いをする。

いつもと違うのはこの宰相の存在もそうだ。

彼はどちらかというと何時もは国王に付いているはず、何故今日は王妃で、しかもこの場なのだろう?

私が彼を見ていることに気付いた宰相は、その美貌をこれみよがしに意識してニッコリと微笑んだ。


笑顔が胡散臭い⋯⋯。


「ホーリー、話は反れたが(反れていない)サッセルン侯爵家を知ってるか?」


サッセルン侯爵家は2年ほど前に悲劇の当主が話題になった家だ。

17歳の私でもその醜聞は知っている。

だから黙って頷いた。


「知ってるのだったら良かった、ホーリー!サッセルン侯爵に嫁げ!」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はぁ?」


突然の従姉の命に私は理解が及ばず、言葉が出たのは何とも間抜けな疑問のみだった。







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