27話
「君は⋯⋯誰だ?」
フォルク様の言葉に私ホリシオンは息を呑んだ、そして私の後ろにいるであろうケトナー卿に振り返る。
彼は驚愕の面持ちで固まっていた。
(これは⋯ゴウダハル様が⋯⋯消えた?)
“開けゴマ”その言葉を発した途端、出現した白い光、その後のフォルク様の言葉で私とケトナー卿は憑依から脱したのだと分かった。
分かったけれどこの状況を王太子様にどう説明すれば、いいえ王太子様だけではない研究チームの皆にも誤魔化す事ができるのかしら?
「ここは?」
私の頭の中などお構いなしに、フォルク様はキョロキョロと辺りを訝しげに眺めている。
彼からすれば私と婚約した事すら知らないのだ。
だってその時には既にゴウダハル様だったのだから。
(どうしよう)
「サッセルン侯爵、少し話をしましょう。さぁお立ちください」
座り込んでいたフォルク様をケトナー卿は立たせ、取り敢えずこの場からの脱出を試みたようだった。
フォルク様も言われるがまま立ち上がりケトナー卿に腕を引っ張られていた、その時「君は!」と言っていたからフォルク様はケトナー卿が誰なのか分かったようだった。
ゴウダハル様はケトナー卿の事は全く知らなかったけれど、胸の中から変な気持ちが湧き上がって来たからと、始めはケトナー卿を警戒もしていたんだけど、フォルク様はケトナー卿をどう思っていらしたのかしら?
私は王太子様と研究チームの皆に、緊急事態が発生したのでその場を辞する失礼を詫た。
そして後日ちゃんと理由を話すと皆に言って彼等の後を追った。
王宮の廊下を少し進んだところで彼等は向き合っていた。
私が近づくとケトナー卿が泣きそうな顔でフォルク様を言い聞かせるように説得しているところだった。
「だから君は一年近くある人に体を支配されていたんだ!だけどその人はとてもいい人で⋯⋯君の為に色々としてくれていたんだよ」
「何のことだよ、私は寝ていただけだ!起きたらベッドじゃなくてここにいたんだよ!」
そういえばゴウダハル様もある日起きたらこの世界にいたと言っていたわね。
フォルク様今から説明するけれど何処まで納得して許容してくださるかしら?
私はこれからのことを考えて頭が痛くなってきた。
◇◇◇
王太子様のご厚意で、王宮の客室を一室お借りしてフォルク様とケトナー卿そして何故か王太子様も一緒に4人で話をする事になった。
先ずは王妃命を私達が受けた事を話す。
混乱するかもしれないのでただの王妃命にした。
詳細を言うことは控えた、だってアレはメイナの嫉妬心からのメモだったのだから、今言う必要はないと思った。
ただゴウダハル様が憑依していた件は話した、そして彼女の協力でシセマイン王国の古代文字を訳して貰っていたところだったと、その最中に白い光が現れてゴウダハル様からフォルク様に変化した事も話した。
「君と私が婚約者?」
「はい」
「私が女人に憑依されていた?」
「はい」
「その人は古代文字が読める」
「はい」
「白い光?そして⋯⋯私が」
「⋯⋯⋯⋯⋯はい」
私には彼の呟きに相槌しか打つことが出来ない。
「王妃命⋯⋯逃げられないのだな」
その言葉が私の胸をツキンと打った。




