24話
「まぁ取り敢えず手を離してくれません?」
フォルク様の姿をした郷田花様は、私の手をポンポンと軽く叩きながらそう言いました。
「しっ失礼致しました」
私も自分の行動に吃驚しながらも謝罪をしながらその手を離したのです。
貴族の子女に有るまじき行いですね、突然男性の手を握りしめるなんて。
アレ?男性で宜しいのかしら?
でも形はフォルク様ですので今の行為は反省しなければいけませんね。
「驚きますよねぇ、っていうか日本語通じるのね、この世界」
「ニホンゴ?」
「アレ?日本語って言わないの?」
「これは“古代文字”だと言われております」
「古代!古代って古いって昔っていう、あの古代?」
「⋯⋯⋯えぇ」
私が頷きとともに肯定致しますとフォルク様は真っ青になりながらも、右手を頬に当てて考えているご様子です。
その仕草が女性らしくて、見た目違和感が有りまくりですの。
困惑してしまいます。
「っと、それは後で考えよう。先に相談してもいい?」
「相談ですね、はい畏まりましたわ」
フォルク様は取り敢えず不思議な現象、怪奇現象のお話をするみたいです。
もう怪奇現象と名付けましたがいいのかしら?
「私は、日本っていう所からこの世界にやって来たみたいなの。如何してかは分からない、こういうのって私の前いた世界では“異世界転生”とか“異世界転移”とか言うのよ。でもそれはファンタジーなんだけどね」
「イセカイテンセイテンイファンタジー⋯」
分からない言葉が幾つも飛び出して、私はただ繰り返すのみでした。
「そして、漸くこの世界が何なのかを先日把握出来たの。全然知らないゲームなのか小説なのかと思っていたんだけど。これは“童話”だったわ!」
「⋯⋯ドオワ」
「少しややこしいのだけど、私の国には童話ってあって。私が初めに読んだのは子供向けの童話の絵本だったの。童話っていうのは小説なんかを子供向けに纏めた物なんだけどね。この概念が合ってるかはまぁわからないわ、それは許して。ただその童話の元になってる話を大人になって私は読んだの。当然童話で端折られた部分も其方では詳しく書いてあったのよ」
「ドウワ子供⋯」
「そのお話は孤児院で育った女の子が王子と偶然出会って二人で冒険する話だったの」
「王子が冒険ですか?有り得ないかと⋯」
「まぁそこはファンタジーえっと、想像の世界だから許しちゃってる部分よ。だから貴方も許してね」
フォルク様がウィンクしながら語ります。
彼のウィンクに思わず私はドキリと胸を打ちました、背後でケトナー卿が剣の鞘を少し上げた音が聞こえます。
思わず振り向いて、目で仕舞えと命令しましたけど、ケトナー卿とは目で会話が出来ないことを忘れていました。
半分ほど抜きかけたその手をパチンと慌てて打つと、彼は止まりました。
私達のその一連の行動にフォルク様こと郷田花様は気付いてもいません。
お話は延々と続きます。
「それでね、その孤児の女の子。実は貴族の子だったと後に判明するのよ。子供の頃攫われていたの、しかもその子のお母さんは隣国の王家の家系でね。そのお母さんはその時に死んじゃってたから彼女も攫われたのではなくて死んだと思われていたのよ」
「⋯⋯⋯」
「で、私がその子のお父さんみたい」
もうわけがわかりませんわ!
私の頭はパンク寸前⋯⋯いえパンクしたようです。
だってそれから記憶がなくなってしまいました、いえそれはちょっと違いますね。
目の前が真っ暗になって⋯⋯気絶したみたいです。




