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プロローグ

新連載です

よろしくお願いします

何時までも来ない人を待つのは無駄な時間だと分かっているつもりだけれど、落ち着こうと飲んだお茶が私の睡魔を奪ってしまった。

全く眠れる気がしない!

さっさと寝てしまおうと思っていたのに⋯。

不本意ながら眠れない私の名はホリシオン

昨日まではスタンピン伯爵家の令嬢だった。


というのも今日は私とサッセルン侯爵との結婚式だったから。


そう今夜は『初夜』


それなのに私は夫婦の寝室で、たった一人で夜を過ごしている。

新郎が来ない事は予想はしていたけれど、確定していたわけではなかった。

彼には長年想い人がいて、それは周知の事実だったから。

だけどこの結婚は王命ならぬ王妃命だ。

逃れられないのだから腹を括っているのではないかと、少しの期待が予想の確定を阻んでいたのだ。


「ふぅ〜」


大きく息を吐いたら静寂な部屋に思いもかけず響いてしまった。


「カタッ」


微かな音が私の耳に届く。

暫く待ったけど扉は開かなかった。

という事は、廊下に誰かが居てこちらを伺っているという事なのだろう。


「はぁ〜」


今度は大きな溜息を吐いてみるが音はしなかった。

おそらくメイドだろうと推測できるけど、イチイチ相手をするのも馬鹿らしくなった。

私は掛布を思いっきり頭まで被って、寝付けなくても無理矢理寝てしまおうと“寝る努力”をする事にした。



「そこで何をしている」


やっと微睡んできていた私の目を再び覚ましたのは、サッセルン侯爵。

本日、いえこの暗さならもう日付も変わってしまったでしょう、昨日夫になったサッセルン侯爵の叱責する声だった。


声で目が覚めた私はベッドに上半身だけ起こし頭を振る。

(折角眠れそうだったのに⋯)

それ以降は、廊下でくぐもった声がするのが聞こえたが、何を話しているかまでは分からなかった。

私は起き上がったものの手持ち無沙汰で、掛布を握ったり離したりしていた。

まだ廊下では人の気配がしている。


暫くすると無駄に薄い夜着を着ていた私は少し寒さを感じた。

この夜着はこの家で用意された物だった。

何故か楽しそうに湯浴み後の私に着せていたメイド達、その目には明らかに嘲笑が込められているのを私は見逃さなかった。

肩の所がレース仕様になっているからだろう、肩から冷えが襲ってくる。


「⋯⋯クシュン、チッ」


思わず出た(くしゃみ)につい舌打ちを打った

我慢していたのに格好がつかない。


すると私の嚔に反応したように夫婦の寝室の扉が開いた。


「まだ起きていたのか」


私の神経を逆撫でる台詞で声掛けしてきたのはサッセルン侯爵その人だった。




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