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すれ違いだらけの俺の運命  作者: 甘衣 一語
非日常
19/40

バレー

「おはようございます。」

「お、おはよう。」

 体育館まで自分で行くという慶人の提案を断り、優大達と一緒に学校の入り口まで迎えに行く。慶人が合流したところを見届けたので俺は優大と共に更衣室に向かう。

「響。何緊張してるんだ。」

「わかってる。別に緊張していない。」

 今日がいよいよ本番だ。今日の俺の行動が学年の結果につながる。そう思うと更衣室に向かう足が重くなるだけだ。

「早く着替えろ。だらだらしてても何も変わらないぞ。」

「わかってる。」

「平宮くん、精一杯頑張ろう。」

 俺と同じく補欠のクラスメートが話しかけてくる。俺と同様緊張しているようだ。チームは補欠の俺らを含めて8人。他の6人はバレー経験者だ。そんなメンバーの中で一緒にバレーをするのだ。緊張して当然だろう。

「響。早く行くぞ。」

 優大に強制的に連れられる。既に応援席は埋まっている。園崎に椅子を取っておくように頼んでいたので、慶人達は椅子に座れている。よかった。

 そのまま引っ張られてコートに立つ。俺がのろのろと着替えている間に試合は進み、俺たちの番になっていたようだ。

 試合は15点の3セットマッチ。補欠の俺らも一回は必ず試合に出ないといけない。

 この試合で負けてもあと2試合あるので大丈夫だ。

 サーブだけは出来るので、最初のサーブを任される。できるだけ落ち着いて打つが練習の時より手前に落ちる。なんとか相手コートには入ったので肩の力を抜く。

「響。上、くるからずれろ。」

 優大の声に従い横にずれる。さっきまでいた場所で響がボールを打ち返してくれる。

 その後も優大に指示されて動き回る。おかげで足は引っ張らずに済んでいる。打ち返したボールも変な方向に飛ぶが誰かがフォローしてくれる。格好が付かない無様な試合ではあるが、まぁ、出しゃばるよりはいいだろう。来年までにはもう少し頑張りたい。

 そうやって動き回っている間にまた俺にサーブが返ってきた。ここで点を取れば一回勝ちになる。

 緊張していても仕方がないので、落ち着いているように繕ってサーブを打つ。さっきより弱々しいボールが相手コートに飛んでいく。かなりギリギリでネットに入り、よくわからないが点数が入っていた。

「響。よくやった。」

「平宮。ナイス。ビギナーズラックってヤツだな。」

 よくわからないが優大達に囲まれる。俺も力になったようで良かった。だが、もうこんな緊張する思いはしたくない。

 なんとかその輪から抜け出し、補欠の席で待機しているチームメイトと代わる。すぐに試合が始まる。役目が終わり気が抜けたので、眠気が襲ってくる。結局昨日もあまり眠れていない。


『ピー』


 笛の音で目を覚ます。3試合目が終わるブザーのようだ。トーナメント表には今までの試合の点数が書かれている。2試合目は2点差で負けてしまったようだ。

 得点表は15対14。負けてしまったようだ。うなだれているかと思ったが、優大達の表情はにこやかだ。

「響。お前寝てただろ。だからあんだけちゃんと寝ろって言ったのに。」

 他のチームメイトからは何も言われなかったので気付かれていないと思っていたが、優大には気付かれていたようだ。眠い頭を無理に起こして着替え、応援席へ上がる。大和は昨日負けたときのように優大に泣きついている。まだ試合は続いている。慶人も優大達の家族も試合に夢中だが、俺は眠くて集中できない。歓声と拍手の音までが良い子守歌となって俺の眠りを促してくる。気が付けば俺は眠ってしまっていた。


 最後の試合まで終わり、慶人に起こされる。今度は怪我をしていない。

 こんな状態では試合観戦も出来ないので優大の家族に送ってもらい今日はこのまま帰る。慶人や大和も帰るようだ。俺は家に帰り、ベッドに倒れ込む。これでやっと肩の荷が下りた。

 安心して眠れる。

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