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主人の命令くらい聞けよ。


ボクが近衛軍に入隊した後、ボクは皇女様、


・・・いやレンシア様の部屋に連れて来られた。理由はわかっている。


不審者であるボクを腕が立つからというだけで近衛軍に入隊させるなんておかしい。


ボクは通された部屋で丸テーブルを挟んでレンシア様と向かい合って座った。


「まずは突然の私の申し出を快く了承してしてくださったことに感謝します。」


レンシア様は頭をボクに下げてそう言った。


「かまいませんよ。所詮ボクは風来坊、住む家も無ければ帰る場所も無い。


ボクの命なんかで良ければ条件次第でお貸ししますよ。」


ボクは出された紅茶のような飲み物、レビアを飲みながらそう返す。


「ずいぶんと正直なのですね。」


さっきまでとは違い。一応敬語は使っているが、


主への敬いどころか皮肉の籠もったボクの言葉にレンシア様は驚いている。


「えぇ、ボクは理由を告げずに戦わせる主は信じてませんからね。


何よりも2人きりで話すといっておいて何人も部下を忍ばせているのはいかがかと?」


ボクはレビアに口を付けながら上目使いにレンシア様を睨む。


「確かにその通りですね旅人さん。


それにしても彼らのことを見破るなんて驚きです。」


別に見破ったわけじゃない。全知の力がオートに発動し、何人か潜んでいるのがわかったのだ。


「実は貴女を雇おうと思ったのは皇族の皇位継承に関しての取り決めが関係します。」


レンシア様曰く・・・・


王たるものいついかなる時も強くあること。


王たるもの力ある部下を束ねること。


この初代帝王が残した二文が帝国の皇族に伝わる皇位継承の条件らしい。


帝国の二代目帝王はこの文から、


皇族の近衛軍同士を戦わせて勝利した者に皇位を譲ることを決めた。


それは今も続いており、その試合は今代は来月行われることになっていた。


なので優秀な、それでいて信頼できそうな傭兵を探していたらしい。


ソコに白羽の矢が立ったのがボクだったようだ。


「要するに軍を使った兄弟喧嘩で王を決めるんですね。」


「要約すればそうなりますね。」


ボクの解釈にレンシア様は苦笑を浮かべる。


「しかしボクには釈然としませんね。


ボクは貴女は急いで人数を集める程皇位に執着しているようには見えません。


逆に貴女は自分が国民の上に立つ人間だと思っていない。」


ボクは思ったままを口にする。周囲から殺気が向けられる。


部下には好かれている様だ。もっとも人柄だけで王になられても困る。


腹芸もできないような無能者なら特にだ。


「私も自分は王の器だとは思っていません。」


さすがに言い過ぎたのか俯きながら語りだした。


「実は私の兄達と姉は私の目から見ても王になるべき人間には見えません。


しかし弟には幼いながらも王の資質があります。


幼い弟にはまだ近衛軍はありません。なのでこの試合に出れないのです。


私は弟こそ時期帝王にふさわしい。そう思うからこそ兄達と姉に負けられません。」


レンシア様はそう意志の籠もった瞳でボクを見ながらそう力説した。


「弟君が成長して王となりうる年齢になるまで王座を守ると?」


「はい。」


ボクの問いかけにレンシア様はそう答えた。


まったく国思いなのか弟思いなのか・・・


「わかりましたよ。じゃあ試合についてのルールを説明してください。」


ルールを知らなければ動きようがない。


おそらくギリギリのタイミングでボクを誘ったんだ、


規定人数かそれ以下の人数しかこの近衛軍には居ないのだろう。


ボクとレンシア様を除けばたったの3人しか見張りが居ないからね。


「お待ち下さい、レン。」


見張っていた1人が姿を現してボクの前に姿を見せる。


「どうしたのですか、ツバキ?」


レンシア様が困惑したようにそう聞く。


「私にはどうしてもこの娘が信用できません。


糸を操る技術は確かに凄いと思いましたが、それよりも得体の知れない者です。


私や他の近衛騎士たちもこの娘に背中を預けるなんてできません。」


ツバキと呼ばれた緑髪の少女がボクを射抜くような目で睨みつけてくる。


やれやれ失言が多すぎたか?


「ではどうせよと言うのですか、ツバキ?


現状では彼女以外にはまだ条件を満たせる方は居ませんよ。」


その言葉をレンシア様が口にするとツバキさんは不適な笑みを浮かべて。


「では私達近衛軍と戦わせて誰かに触れたら合格というのは?」


なんだか不本意な方に流れが行っているぞ?


「いいでしょう。旅人さん、絶対に勝ってくださいね。」


ははっ、なんでこうなるのかな?

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