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急展開だな、おいっ!

全知で知ったことはいくつかあるが、今説明すべきことは・・・


この世界には3つの大陸があり、各大陸に大小様々な国が存在すること。


その中でもっとも強大な国が3つ。


中央大陸にあるパラメニア王国


西大陸にあるガルド帝国


東大陸にあるマルフェス皇国


この3国は覚えておいた方が良いだろう。


そして今ボクが居る場所は西大陸のガルド帝国領の悠久の草原と呼ばれる場所だ。


とりあえず帝国内の町を目指すことにしよう。


次に、言語なのだが・・・


実はこの世界には言語は一種類、ヘルグラン言語というモノしか存在しないとのことだ。


コレはボクにはありがたい話だった。


前の世界のように国によって異なる言語を使われては正直困ってしまった。


全知を使うと頭の中に何かが流れ込んでくる感覚があって正直気分が悪い。


だから言語のために多様する必要がなく本当に助かった。


この世界の通貨はセルといって1セルが1円と同じ価値だった。


そこで問題なのは、どうやってセルを稼ぐかだ。


この世界にはギルドと呼ばれる組織が各国に存在し、


そこで草むしりから要人の護衛,魔物や盗賊の討伐など様々な依頼をしたり受けたりできる。


ギルドで依頼を受ければ簡単にセルが手に入るがそれにはギルドに登録する必要がある。


この世界で何をすべきか知るまでは極力この世界の人に関わりたくない。


それなのに登録するなんて問題外だ。


ならばどうするべきか?


思案を膨らませていると、急にボクの体を何かが通り過ぎていった。


ロングコートの特殊効果でダメージは全く無いが、正直心臓が止まるかと思うくらい驚いた。


ボクは通り過ぎて行った何かに視線を向ける。


ソコに居たのはライオンとサイを混ぜ合わせたかのような姿の魔物だった。


ボクは全知の力で魔物のついての最低限の知識を探る。


名前はグライガー、上級の魔物だ。恐ろしい速さと力を待っているそうだ。


恐らくボクなんて彼の大きな口で噛まれればひとたまりも無いだろう。


だけど今のボクに逃げるという選択肢は用意されてない。


何故か? そんなの簡単な話だ。グライガーは群れで行動する。


そう、ボクの周りを10頭のグライガーが取り囲んでいるのだ。


「やれやれ、ボクなんか食べても上手くないだろうに。」


ボクはそうため息をつくと、思案し始めた。


防御面は外側からの攻撃には完璧だが、攻撃方法が思いつかない。


ボクは漫画は読んでいたが、多対一の場面はなかなか少なかった気がする。


ここはとっさに思いついたあれで行くか・・・


「迂闊だったよね、ボクも・・・君たちも。」


ボクはそう言うと両手を左右に広げた。


その瞬間、グライガーの群れは一瞬でバラバラの肉片へと変わった。


何をしたかって? ボクは鋼糸を作り出して曲絃師(きょくげんし)の真似事をしてみた。


たしか昔読んだ小説で糸を使って相手をバラバラにするこの技術に憧れたのを覚えていた。


しかし流石は全能の力だけあって、ボクのような素人に糸使いの最高峰の技術を使えるとは・・・


なんだか軽い高揚感を覚えた。


しかしボクは直ぐに現実に引き戻される。


いつの間にか現れた兵士のような格好をした人たちに囲まれて、


鋭い槍を向けて威嚇されていたのだ。


どうやらボクがグライガーの群れを一瞬で肉片に変えてしまうところを見られていたようだ。


その中のリーダーのような青年がボクを睨みながら前に出てくる。


「私はガルド帝国白銀騎士団団長レイル=ザーシンだ。」


そう高らかに名乗りを上げる。


レイル団長が言うには彼らはグライガーの討伐にやって来て、


群れに囲まれているボクを発見したらしい。


助けようとした瞬間、


彼らの目の前でグライガーを迂闊にも肉片に変えてしまったボクを警戒しているようだ。


本当に迂闊だった。関わりたくないのにコレだけ目立っていては話にならない。


「貴様はいったい何をした?」


レイル団長が恐ろしい目でボクを睨んでくる。


「糸を使いました。」


此処は隠さなければならない場所だろうけど、ボクはそう意識的に答えた。


何故かって? 決まっているだろ、嘘をついたって状況が悪くなるだけだ。


それに言い訳も思いつかない、なんせ彼らの目の前でやってしまったのだから。


「糸だと? 戯言を言うな。糸でどうやって魔物を殺せる?」


レイル団長の目が更に鋭く変わる。


「事実だからしかたありませんよ。」


ボクはそう答えると微笑みえを向ける。


その笑みをどう受け取ったのか、レイルは腰の剣を抜いてボクに向けた。


「我らを馬鹿にするのもたいがいにしろ。これ以上ふざけた事をぬかせばその首をはねる。」


彼の目は真剣(まじ)だった。やれやれこうまで頭が固いとは・・・


さてどうやってこの状況を潜り抜けようかな?

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