試合当日-雑魚を一掃してやるぜ!
ボクは今回の試合から魔法を使うことにしていた。
理由は魔法を使ったほうが戦いやすいからかな。
ただの魔法ではあの第二皇子に、
レンに二度と手を出させないような恐怖を植えつけることはできない。
だからボクはこの試合で・・・・
おっと、言ってしまってはつまらないか。
まぁいい。
せいぜい油断しているがいいレクテス。
ボクが味あわせてやるよ。最高の恐怖をね・・・
ボクは今、試合の開会式のため、王城の広場に整列している。
チームリーダーの為、先頭に立って、国王の長い話を聞いている。
まったく、偉い人はどうしてこう話が長いんだろうか?
学校に通っていた頃、一番嫌いだったのが校長の長話だった。
やれやれ、早く終わらないかな。
無論、そんなことは顔に出さず、ポーカーフェイスで話を聞く。
話の中に、最初のサバイバルの話が出てきた。
何でも、王都の中には巨大なコロシアムがあり、
その地下には獰猛な魔物の住む森があるらしい。
サバイバルはその地下の森で行い、勝ち残りを決めるらしい。
そのさい、木を切ること、魔物を殺すことは許可されている。
ボクが戦いたいのはレクテスの近衛軍だ。
整列する時にチラリと見たけど、仮面とマントで姿を隠した怪しい5人組みがそうだった。
全能の力で知ったけど、ツバキ隊長が2人掛りでやっと1人倒せるレベルの相手だ。
なんだかだるくなってきた。
ボクはあんな強者と戦う必要があるのか。やれやら、本当に安請け合いはするもんじゃない。
「師匠、師匠、本当に魔法を教えなくてよかったんですか?」
ボクの後ろにいた副隊長くんがそう聞いてきます。
「ん、大丈夫だよ副隊長くん。もうある程度覚えたからね。」
嘘だよ。全知の力で知識として理解しただけ。
まぁ、普通に覚えるよりも上手く扱えるだろうけどね。
「さすがは師匠ですね。
ところでその、副隊長くんって呼び方やめません?
僕にはルイズ=レルカミアって名前があるんですよ。」
「だったらその師匠って言うのをやめて欲しいね。
ボクは君に師匠呼ばわりされるようなことを教えた記憶は無いよ。」
銃を教えてから彼は何故かボクのことを師匠と呼んで慕ってくる。
ボクには人から師匠呼ばわりされて喜ぶ人間ではない。
可愛い女の子なら別だけどね・・・・おっと、失言だった。
「何言ってるんですか、こんな凄いものを教えてくれたじゃないですか。」
副隊長くんが銃を出しながらそう言う。
今は開会式中だよ。隠せ、隠せ。
副隊長くんとのやり取りが終わってボクたちは今、コロシアムの地下に居る。
「さて、どう生き残るべきか・・・」
ツバキ隊長がそう呟いている。
今のボクたちは第一皇子,第一皇女の近衛軍に囲まれている。
弱いとこから潰していけば最終決戦には出れるからね。
まぁ、目的はあくまで第二皇子の近衛軍。
不要な役者には退場していただこうかな。
パチンッ・・・
ボクは小さく指を鳴らす。指パッチンだ。
それと同時にボクたちの周りに光りでできたバリアが出来上がる。
古代魔法の一つ、バリア。
バリアは想像とは異なり高度な魔法だったようだった。
指パッチンで発動できるのは全能の力とボクの中の魔力量のおかげだ。
他の近衛軍もツバキ隊長たちも突然の事に驚いてボクを見る。
まだ驚くのは早いよ。
パチンッ・・・
再び指パッチンした瞬間、ボクの視界が白に染まった。
古代空属性魔法、ジャッジメント=レイ
無数の雷を収束して放つ広範囲型の魔法。
手加減しているから死ぬような事はない。
どうやら第二皇子の近衛軍は自力で助かったようだね。
こうしてサバイバルは地下の森を焦土と化す代わりに、
第二皇子と第二皇女の近衛軍が勝ち抜いた。