王都か、東京には行ったことなかったな・・・
最近、主人公が妙に好戦的すぎるような気がしてきました。
コレでは私の思い描く主人公とはかけ離れていきます。
なので今回はほのぼのとした話です。
翌朝は昨日のことのせいで場内は混乱していた。
明らかに暗殺者の格好をした男達が20人、場内の各所に突然現れたからね。
それも体をぐるぐるに縛られて芋虫状態で・・・
第二皇子の私兵だと発覚する前に、第二皇子が混乱を沈めたらしい。
まったく手回しが良いね。正直な話し、有難かったよ。
第二皇子が第二皇女を暗殺しようとした事がバレてしまったら、
第二皇子にボクを不愉快にさせた制裁をボク自身の手で下せなくなってしまう。
その点は第二皇子がただ姑息なだけの男で無かったことに感謝した。
ただ第二皇子に傀儡糸の存在を知られてしまったのは残念だ。
ボクが糸使いでもあることは知られてしまった。
まぁ、たいした問題ではないから捨て置こう。
鋼糸だったら大変だけど傀儡糸はあくまで即興品だからね。
さて、この話は此処までにしておこうか・・・
ボクは今、レンとレイナちゃんと一緒に城下街に居る。
何でこうなったのか?
それは朝起きたときのことを思い出してみよう。
今朝・・・
目が覚めたら目の前に赤い髪と青い髪があった。
そう、レンとレイナちゃんの髪の毛だ。
ボクはゆっくりと体を起こして寝ぼけた頭でなんで此処に2人が居るのか思案する。
「おはようございます、マヤさん。」
「おはようございます。」
ボクが体を起こすと2人が挨拶をしてきた。因みに最初がレンで次がレイナちゃん。
どうやらボクの寝顔を覗いていたようだ。
自分の寝顔を見られて居たというのは気恥かしいけど、
そんな事よりボクは鍵をかけて寝たはず・・・
そう思って扉の方に視線を向けて絶句する。
扉は無残にも粉々になっていた。恐らくレイナちゃんの仕業だろう。
殺意を向けられたら起きれるよう体を設定してあるので、暗殺対策は問題ない。
だけど彼女たちのような無邪気(少なくとも悪意は無い)からの行動は論外だ。
明日から結界を作ってから眠ることにして、2人の用件を聞いてみよう。
特に今日は何かあるとは聞いていないし・・・
「何の御用かな、2人とも? ボクには扉の残骸が見えるような気がするけど?」
用件は別として、扉の件はとっちめないといけないからね。
良い笑顔をプレゼントしながら聞いてみたよ。
「す、すいませんでした、レンがどうしてもと仰ったので・・・」
レイナちゃんは床を砕かんとばかりに頭を地面にぶつけながら土下座する。
怪力でも見た目可愛い女の子にこんな事をされるのは妙な罪悪感を覚える。
「別に怒ってないよ、ただ理由を聞きたかっただけだから。」
ボクは苦笑しながらレイナちゃんの土下座をやめさせる。
頭を上げたレイナちゃんは若干涙目になっていたが、打ち付けていた額は無傷だった。
怪力だけでなく体も頑丈なんだ・・・
「実はマヤさんに城内を案内してあげるつもりだったんです。」
そうレイナちゃんが話し始める。
不慣れなボクを親切にも案内してくれるなんて思っていたより良い子のようだ。
「そこでマヤさんの部屋の前にきたらレンが居たんです。」
そういえばレイナちゃんとはこんなふうに言葉を交わすのは初めてだ。
「実は私も同じことを考えて居たんです。」
レンはレイナちゃんから引き継ぐように話し出す。
「ノックしてもちっとも反応が無かったのでどうかしたのかと思いまして・・・」
そこでレンが話しづらそう言葉を止める。
「それで・・その・・・」
レイナちゃんも同様に苦笑いをしながらボクの様子を伺っている。
なんなんだろう?
「なにかあったのでは・・・そう・・思いまして・・・」
なるほど、理由はわかった。
「つまり反応の無いボクを不審の思ってレイナちゃんが扉を破壊した。
そういうことだね?」
ボクがそう聞くと2人は頷いた。まったくコレでは責められない。
「わかったよ、ボクの身を案じての行動だから咎めないよ。」
寛大なボクは許してやることにした。
「ありがとうございます。
それで案内なんですけど、実は予定を変えて城下街に行きませんか?」
レンがそう提案してくる。いったい何故?
「その、マヤさんて服は一着しか持っていないようですので・・・
少なくとも寝巻きを買いに行きませんか?」
なるほどこの格好で寝てたから服を買いに行こうと・・・
正直な話は、着心地も良いし、
コートとマント以外は何着も作ってあるから良いんだけど、
せっかくだし城下街を見学するのは悪くないね。
そして現在・・・
王都か・・・そういえば東京には行ったこと無かったっけ。