ここが王都か・・・
やっと王都に到着したよ。 長かったよ、ここまでの道のり・・・
馬車で5日間、慣れないうえに椅子は木製である、とてもリラックスできる環境じゃない。
あぁ、腰が痛い・・・
しかし条件はみんな一緒だから我慢しなくてはと思ったけど、何故かみんなピンピンしている。
恐らくは慣れた者と慣れない者の差なんだろうね。別に羨ましくはないよ。
移動の間、特にやることの無いボクは近衛軍の武器の改良をしていた。
隊長さんとの約束で短期間で何か教えると言っていたけど、
やっぱり武器を改造してそれの使い方を教える方が良いだろう。
楽だし、よけいな勘ぐりはされにくいと思う。
技と言っても魔法が使えないのに変な特殊能力を披露してしまったら説明が面倒だ。
武器職人の知人が居て、武器の改造法を教えてもらっていると言ってあるので、
武器に特殊能力をつけても怪しまれないだろう。
こういうときに弊害がでるから滅多な言い訳は口にできないよ。
さて、まずは隊長さんのレイピアから見ていこう。
彼女の体格にはレイピアのサイズは適しているけど、
全知の力が、突くという動作は彼女の筋肉に合わない事を教えてくれる。
隊長さんは剣を振って切り裂くという動作のほうが合っているらしい。
ボクはいっそのこと武器そのものを別物に変えてしまう事にした。
やっぱりイメージに合うのは刀か。
レイピアの時のサイズと重さで、刀の切れ味を損なわないように武器を構成する。
完成したのは刃渡り60cmの小太刀だ。
これなら風のように速く相手を切り裂くことができるだろう。
我ながら自信作だ。特殊能力は決して汚れず、錆びないといったものだ。
まぁ、これなら刀の使い方を教えれば良いだろう。
次に副隊長くんの弓矢だ。
鳥人の彼は空から地上を狙い打つ戦法を好んでいる。
しかし、弓矢だと矢を準備して放つまでのタイムロスがもったいない。
ボクは思案した結果、白夜のような魔力を弾に変える銃を2丁作ることにした。
コレなら引き金を引くだけだし、何より副隊長くんの魔力次第だが弾切れも無い。
全知で知ったけど、彼の魔力量は常人の10倍らしい。
威力だけは白夜と違って、最初から通常の銃と同程度に設定しておいた。
盗賊騒ぎの時みたいな弾を彼が撃ったら1発で魔力切れになってしまうからね。
あとは銃の使い方を教えれば弓矢の使い手の彼の眼なら使いこなせるだろう。
次にゼルクさん、彼は西洋刀を使っているが、正直なところ、剣術は苦手なようだ。
そこで棒術を教えてみる事にして、棍を作ってみた。
鉄製の棍で、特殊能力に伸縮自在をつけてみる。
できあがったら如意棒になった。
ゼルクさんの意思で伸び縮みするから後は棒術を教えるだけだ。
最後にレイナちゃんだ。彼女の武器は身の丈以上の巨大な斧だ。
彼女の武器が一番困る、なぜなら怪力に任せて振り回しているだけ、
技も何もあったものじゃない。
だからこそ考えたのは戟だった。それもただの戟ではなく、
彼女が何かしらの技を使える程度の重量の戟だ。
斧と違ってただ振り回すだけではこの先生きてはいけない。
だからこそ技を身に着けてもらう必要がある。
特殊能力に巨大化ができるようにしておいた。
まぁ説明はこんなものかな。
さて、やっと馬車から開放される。ボクはそう思って止まった馬車から外に出た。
「はぁ~、おっきいな・・・」
ボクの目に初めに飛び込んできたのはスベート城の何倍もの大きさの王城だった。
日本の城には何回か観光で行った事があるけど、比じゃないね。
さて、ここに例の第二皇子様が居るのか・・・
楽しみだ、ボクの前で騙し射ちをしたんだ、覚悟してもらうよ。




