よしっ、決った・・・
王都に行くメンバーを紹介しよう。
まずはレンシアs・・・いやレン(近衛騎士になってもらったからには命を預けるも同義、
私の事は他の近衛騎士同様にレンと呼んで下さい。と主人の権限を利用して呼ばされた。)
次にツバキ隊長とルイズ副隊長,ゼルクさんにレイナちゃん。
あとおまけでレイル団長が護衛として付いてきている。
近衛騎士の護衛ってなんなのだろうか?
そしてボクの計7人で大型の馬車で王都に向っている。
この道中、ボクはレンと隊長からある課題を出された。
それはボクの名前を考えることだ。ボクは前の世界の名前を捨てている。
だから名無しのゴンベイ状態なのだが、それでは試合のメンバーとして登録できないらしい。
細かい個人情報は無しでいいが、名前だけは偽名でも名乗らなくてはいけない。
仮に優勝すれば国王と共に戦った騎士として歴史に名前が残るからだ。
そんな華々しい舞台に名無しの不審者はお呼びではないのかもしれない。
しかしボクは既にレンと契約をしている。いつ抜けても良い条件だけど、
それでも試合が終わってからしか抜けることはできないだろう。
まったく安請け合いはするものではないな。
それでもボクはこの皇女様を少なからず気に入っている。
王族の生まれなのに変に偉ぶったりせず、国民や弟君を大切にしている。
孤児であるボクには無い思いやりの心は、
見ているボクまで優しくなっているような錯覚を覚える。
だからこそボクは全力を尽くしてみようと思った。
まぁ少しは腹芸を身につけなくては王族としても王としても失格なので、
ソコは学んでもらわないといけないだろう。
おっと話がそれた、とにかく今のボクは名前を考えている。
リリア,やよい,ひかり・・・
正直に話すと自分の名前を自分で付けると言うのは想像していたよりも恥かしい。
まだ男だったらいい。しかし今のボクは女である。
変に女過ぎず、だからといって男のようにならない名前。
レンから家名・・・つまりファミリーネームは頂いている。
それに合わせて名前を考えるのも難しい。
因みにボクの家名はウェイデッド。この世界の言葉で『白の人』『聖人』という意味らしい。
白の人には納得できるが、ボクは聖人なんて柄ではない。
まぁ、決まってしまったからにはしかたない。それよりも考えないと。
結局ボクがいくつか候補を出してその中からレンに決めて貰うことになった。
「じゃあ候補を聞かせて頂きますね。」
そう満面の笑みを浮かべながらレンが言う。
明らかに楽しんでるだろ? ・・・まぁ良い。
ボクがとりあえず出した候補は三つ。
『マヤ』『メイヤナ』『シンシア』
マヤは前の名前を参考にした。知恵という意味らしい。
メイヤナは道化師という意味だ。
シンシアは黒という意味だ。
正直に言えばボクに1番合うのはメイヤナだろう。
道化師。今のボクを表現するのにこれほど適した名前は無いだろう。
しかし意外なことにレンが選んだのはマヤだった。
理由を聞くと珍しい語呂だからと、他の二つが酷かったかららしい。
メイヤナはまだしもシンシアは別にいいのでは?と思ったが、
選んで欲しいと頼んだのはボクなので特に何も言わなかった。
とにかくボクのこの世界での名前が一応決まった。
《マヤ=ウェイデッド》知恵ある白き人。
まったく大層な名前だよ。