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TS娘とおまじない  作者: 千佳のういろう
45/61

45話「パンツ」

「透けてるパンツってどう思う?」



 土曜日。今日は桃果と結乃の二人が俺の家にやって来ていた。する事も無いので毎度の如く、課題をやりつつも片手間にゲームをしたりアニメを見たりと各々の時間を過ごす中、会話の途切れた空気を切り裂くように結乃が問いを投げてきた。



「どっちに訊いたん。今の」

「二人共に訊いたつもり。どう思う」

「エロい!」

「寒そう」



 先に桃果が凛々しい声で答え、次いで俺が頭に浮かんだ言葉をそのまま口にした。



「なるほどね」

「いきなりどうしたのさ結乃?」

「ふと気になったんだよ。あるじゃん? そういうショーツとかブラとか。本来は恥部を隠すという目的の元作り出されたのが下着なのにさ」

「透けるのは矛盾してるって?」

「シンプルにエロい事する時に着る下着だから透けてるんじゃないの?」

「あたしもそう思う」

「やんな? やっぱそうよな? そうなんよ」



 続けて意見を述べる俺と桃果に対して結乃も安心したような声音で同意してきた。



「じゃあさ、やっぱりそういう下着を履いてる人を見掛けたらさ、今後早いうちにそういう行為をするんだなあって思ったとしても、その認識は間違ってないよね?」

「どうやろね」

「事後って可能性もあるんじゃない?」

「事後の可能性かぁ」



 む、なんかしばらくトスが続きそうな会話だな。スマホをスリープモードにして机に置き、ソファの上で寝転ぶ姿勢を仰向けから横向きに変え二人の表情を見えるようにする。



「事後に外を歩くってなると、やっぱり朝方が多いのかな?」

「まぁ〜。経験は無いけど、ラブホテルにしてもどちらかの家に行くにしても、エッチした後シャワー浴びて帰るってなると朝方が多いイメージはあるよね。ね? 小依」

「なんで名指しするの。私だってそういう経験ないし分かんないよ」

「うっそだ〜。ぴーかつ! ぴーかつ!」

「一応確認するけど、私ら友達だよね?」



 未だに俺の事をP活女子扱いしてくる桃果に確認を取る。彼女は俺を見て笑っていた。人の反応見て笑ってんじゃねえ性悪女め。



「ふーむ。じゃあ例えばこんな昼時に、女友達と一緒に居るのに、エッチをし終えたまま下着を変えずそのままってのは二人的にどう?」

「どうとは」

「いや、感想というか考えというかさ。どう思う? 有り得るのかな? そういうの」

「え〜……ねぇ小依、ラブホってシャワー付いてるよね?」

「知るかぁ。……いや付いてるでしょ流石に。無かったらキモくね?」

「だよねぇ。となったらさ、セックスした時の汗とか液とかは洗い流せるわけじゃん? 一度綺麗にしてるんだったら、別に服装はそのままでもいいんじゃない?」

「もかち的にはアリ?」

「アリ……? んー、仮にあたしが誰かとそういう事したってなっても、家に帰るよりこの家が近い位置にあって遊ぶ約束があるんだとしたら、そのまま直行すると思う」

「ふむ。こよりんは?」

「えっ。……右に同じく?」

「なるほどなるほど。なるほどねぇ」



 結乃は頷きながら、腕組みを解いてポテチを1枚パリッと食した。



「じゃあ逆に、夜に男の人とそういう事をする予定が入ってたとして、普通に友達と遊ぶ段階でエロい下着を履いてきたりするのは二人的にはどう? アリ?」

「さっきから何の質問……?」

「雑談じゃんかー。どうよ、こよりん?」

「私はぁ……まぁ、アリなんじゃない? 予定が詰まってるんなら一々着替えるの面倒じゃん。セクシーな感じの服を着るならまだしも下着なんて普通にしてたら見えないし」

「こよりんはさっきから私の顔のすぐ近くにパンツがあって大丸見えだけどね」

「ごめんなさいね。この姿勢が楽なもんで」



 ソファと座椅子の位置関係上、どうしてもソファの上で寝転がると桃果か結乃の顔のすぐ近くに股間が来るのでな。ご了承願いたい。というか、スカートじゃなくてジャージを履けという話ではあるか。



「もかちはどう?」

「あたしもそのままエッチな下着履いてくかもな〜。まあそもそもそういう下着、持ってはいるけど人に見せる予定なんて無いんだけどね〜」

「へぇ。持ってんだ、見せてよ今度」

「なになに! あたしの扇情的な姿が見たいっての小依ったら! よしっ! 今日は混浴しよう!」

「別に素っ裸が見たいという話じゃないんだけど全然喜んで一緒に入ります! あ、でも体をベタベタ触ってくるの禁止ね」

「無理。貧乳揉まして?」

「絶対やだ」

「お腹もタプタプさせて!」

「絶対やだ!!!」



 桃果が俺の頬に人差し指をぐりぐりと押し付けてきた。頬肉ぐりぐりされる、噛み付いてやろうかや。



「なるほどねぇ。こよりん!!!」

「わひゃいっ!? んだよびっくりしたな」



 突然大声を出されたのでビクッと身を震わせてしまった。結乃はもう、これでもかというくらい、ニコちゃんマークに空目するくらいの満面の笑みで俺の事を見つめている。宇宙人に寄生されてる人みたいだ。こっわぁ。



「なにか面白そうな事を考えてる顔だね結乃。聞かせてもらおうかな」

「ふっふっふ。もかち、今夜こよりんと混浴するのは諦めた方が良さそうだよ」

「「え?」」

「或いは、昨夜お楽しみだったみたいだなこよりん!!!」

「何言ってんのこの人。怖いんですけど」

「もしやっ! はぁっ!? もしやぁっ!!」

「おっと何を受信した? 取り残されてるの私だけ? 怖いかもな〜」

「隠さなくてもいいんだよこよりん!」

「丁度これから身を隠そうとしてた所だよ。二人共、目を瞑ってくれるかな」

「もかち! こよりんを捕まえて!」

「分かった!」

「もがぁ」



 桃果が俺の上にのしかかってきて両手で頬をぶにゅ〜と挟んできた。顔へのアクセスは果たして必要なのだろうか? 俺の顔が間抜けなタコ顔になるだけなんだが。



「小依、このままキスしてもいい?」

「えっ。どうしよう、私の心的にはめちゃくちゃして欲しいんだけど友情に亀裂入ったりしない?」

「舌入れてもいい?」

「一個前の質問に答えてほしかったかもな」

「こらこら、そこで百合百合しないの〜。もかち、そのまま押さえててね〜」

「あいわかった」

「なんでもいいけど早く用事終わらせてほしいです〜。腕踏まれてるんで。これ絶対後で痺れるやつなんで〜」

「はいはーい。それじゃ、お手を拝借」

「無理じゃ。踏まれてるんだって今」

「拝借〜」



 俺の目の前で桃果が両手を合わせる。なんじゃこれ、なんで女友達に乗っかられて祈られてんの俺。



「……んっ? 待って、結乃。今何してる?」

「暴れないで!」

「暴れますけど。今お前私の尻触ったよね」

「あぶっ! 危ないから! こよりん!」

「変な所触ってんなぁ!? そこ退いて桃果!! 性被害に遭ってまーす!!!」

「まじ? 結乃ー? 何してんのー?」

「パンツ脱がせようとしてるだけだよ!」

「ほなええか」

「ええ訳あるかい!? ちょっ、まじっ!!!」



 必死の抵抗も虚しく、あっさりとパンツを脱がされてしまった。……やばい。これヤバいやつだ。


 急に頭の中が冷たくなる。過去のトラウマが蘇り、心拍数が上がる。体の芯から震えが起きて奥歯がカチカチと鳴りそうになる。



「これはどういう事なのかなこよりっ……あれっ?」



 俺のメンタルがマイナス面に吹っ切れる前に桃果が俺の上から退き、結乃があっけらかんとした声を上げる。叫び出す寸前で二人が離れた事によりなんとか目に見える動揺は抑えられた。水を飲み、深呼吸をしてなんとか調子を整える。



「おっかしいな。あれー?」

「結乃? なに小依のパンツジロジロ眺めてんのさ。あたしにもよく見せてよ!」

「おい」

「透けてない……?」

「え?」

「おっかしいな。履いてる時は確かに透けてたはずなのに」

「はい?」



 なーに言ってんのこの人。なんで俺が透けてる下着なんて買わなきゃならないんだよ。用途が無いだろ。



「どう見てもただの白パンツじゃない?」

「返してもらっていいですかー。人の下着ジロジロ見んなー」

「ごめん、もうちょっと観察させて!」

「ダメに決まってんやろアホか。返しなさい」

「お願いって。さっきまでスケスケでお尻見えてたのになんでぇ?」

「透けてないわ! んなもん誰が買うか!!」

「単にちょっと下にズレてただけなんじゃない? 半ケツ状態だったんでしょ」

「その解釈もやめて? 透けてないしズレてもないから」

「いーや透けてたね。絶対透けてた、私見たもん」

「眼科行きな」

「本当なんだって!」

「いいから返せ! 変態め!」



 結乃から強引にパンツを奪い返す。……うん、やっぱり透けてない。いや、透けてるパンツなんて買うわけないんだよ。ただでさえ桃果と結乃と合わせて普段ミニスカで行動してんのに、そこの防御力まで下げたらいよいよ痴女になっちまうもん。てか普通にそんなの恥ずかしくて着用出来るわけないし。



「おっかしいなぁ……」

「頭が?」

「ちーがう! だって絶対透けてたんだって!! この目で見たもん何回も!!」

「何回も人の尻見てんじゃねえよ。女同士でもセクハラになるんだぞ」

「いや、だってさぁ!!」

「まあまあ落ち着いて。実際透けては無かったけどさ、少し布地は薄いというか、ペラってしてる材質だったからさ。そこにヒントがあるのかもしれないよ、結乃」

「ヒント?」

「今度はなに。なにを閃いたん桃果は」

「小依。パンツを履いた状態のまま、スカートを捲ってあたしらに尻を突き出して欲しい!」

「アホなん???」



 今のは流石にドン引きした。なんなんこの人達、この空間俺以外変態しかおらんやん。誰か助けてよ。



「あたしの解釈はこうだよ。恐らく小依の今履いてるパンツは軽さと肌へのフィット感を重視した布地が薄くてツルツルするタイプだと思うの。でさ、そういうのってサイズが合ってなかったりするとやっぱり厚さがないから肌色が透けて見えるじゃん? 結乃が透けて見えたって言ったのは、つまりそういうことなんだと思う」

「なるほど!!」

「なるほだないわ。それ、暗に私の事デカ尻って言ってない?」

「言うほど太ってもないから口にした事は無いけど、下半身は結構むっちりだよね小依って」

「わかる」

「分かるな」

「まあ前までお腹も少しぽちゃーんだったしね」

「そんな事ないし!!!」



 確かに前までは指で腹肉つまめたけどさ。そんなの微々たる割合だったし、足腰だってそんなに……自分じゃ分からないや。でも認めたくないわ、それ認めたら俺の体型まんま土偶じゃん。胸の装飾がない土偶とか滑稽すぎるでしょ。



「というわけで、実証開始!」

「やーだ!」

「小依。問題が起きたら原因を探るのは大事な事なんだよ? どうするのさ、今後男子がラッキースケベで小依のパンツを見てしまった時に透けてたら。やばくない?」

「………………大分やばい」

「でしょ? あたしらは女だったからよかったものの、男に知られたらあっという間にその噂広まるよ? あっという間にメンヘラ痴女扱いだよ? 人生危ぶまれるよ?」

「……それはそう、だけど」

「大丈夫。あたしらはなんてったって小依と同じ性別ですからね。透けてるお尻を見ても変な気持ちにならないから安心してほしい」

「うんそこは別に心配してないのよ。人に尻突き出す行為が恥ずいと言ってるんじゃ」

「でもそれ以外に確認方法なくない?」

「ぐぬぬ……」



 なんでこの二人は神妙な面持ちになってるんだ。自分らが今からしようとしてる事が間抜けなことだって気付いてないのか? 1番間抜けな立ち位置にいるのは俺なんだけどさ、少しくらい恥じた方がいいぞマジで。



「こよりん」

「なんですか」

「大丈夫だよ。私、時々スカート長くしてる日あるでしょ」

「それが?」

「長い日は基本パンツ履いてないから。ノーパンだからね」

「なんで!? 痴女やんけ!」

「いやー、汗っかきだからさ。パンツが濡れると気持ち悪いんだよね。だから恥ずかしくないよ、安心しな!」

「うん恥ずかしいよ? 恥じた方がいいよ? ちゃんとパンツ履きなー?」

「こよりんが恥ずかしくないでしょって言いたいんだよ!」

「ノーパン痴女の慰めじゃ羞恥心は消えないのよ……」



 衝撃の事実すぎる。じゃあせめてスパッツとか履けよ。友達がスカートの下ノーパンだとか気が気でなくなるわ。



「なるほど、ね。そんな秘密があったとは。……ちなみにノーパンで外歩いてるとどう、興奮とかするものなの!? 教えて結乃事細かに!!」

「えっ。キモ」

「小依? キモは酷くない?」

「興奮はしないな〜。突風吹いた時はちょっとドキッとするけど」

「答えなくてもいいって」



 ため息を吐きつつ、パンツを履き直す。で? この状態でスカートを捲って二人に向けて尻を出せって? 嫌すぎる。嫌すぎるが、実際二人に確認してもらわないと透けてるかどうかも分からないわけで。


 このまま履き続けて事故を起こすよりかは、今恥をかいてこのパンツがまだ使えるか否かを考えた方がマシなのは間違いないか。


 はあ。気は進まないが、ちゃんと上まできっちり履き切った所で二人に背を向ける。



「タンマ。これさ、別に尻を突き出さなくてもこのままスカート捲れば透けてるかどうかなんて分かるくね?」

「それもそうだし、あたしらが顔近づけた時にオナラとかしないでね?」

「する訳なくない!? てか顔近付けんの!? 二人ともそこまで目悪くないだろ!」

「見るなら間近で見たいじゃん」

「じゃあオナラしようかな」

「お尻叩くよ? グーで」

「せめてパーにして? いやパーも駄目だけど」



 言いながら、スカートの端をつまむ。なーんでこんなことしてるんだろうって、考えたら余計に恥ずかしくなるのに考えてしまう。意味分からんやん、友達に自らパンツ見せつけるって何?



「手が止まってるぞー」

「しーり! しーり! しーり!」

「ちょっと観客最低すぎるな。そのお口チャック出来るー?」

「焦れったいぞー。早く脱げー」

「脱げ脱げー!」



 こいつら、絶対前世性犯罪者だろ。そんなワクワクした声で友達がスカート捲るの期待出来るもん? 同じ性別なのに? おかしいって絶対。



「……うぅ、やっぱやめる」

「なんでぇ!?」

「いやだって、アホくさいし」

「いいのかな!? 男子に見られちゃうかもよ!!」

「……見られないようにする」

「無理だね。ただでさえペラッペラなスカートを更に短くしてるんだよ? 廊下に吹く風でもうすぐペラっといくね」

「あ、新しいの買えばいいし!」

「そんなお金あるんですかー? 金欠って嘆いてたよねさっき」

「……」

「いいぞいいぞもかち! 諦めろーこよりーん!」



 こいつらまじで……っ!



「じゃあ分かった。こうしよう、小依」

「絶対ろくでもない提案だ」

「小依が見せるだけじゃイーブントレードにならないからね。だから、小依があたしらにパンツを見せてくれたらお礼に小依が気になってたスイーツ屋さんの割引券をあげよう」

「私からも進呈するよこよりん」

「なに!?」

「ふっふ。しかも500円割引が二つ、併用可能! 最大1000円割引! どう!?」

「先に行ったの!? なんで私を誘ってくれなかったんだよ!!!」

「帰りに誘おうと思ったら水瀬くん所の教室までピューってダッシュしてったじゃん? 予定あった日と被ったみたいで」

「予定って……あ、あいつのシフトが無かった日か」

「多分?」



 く〜っ! 最近アイツとドハマりしてる格ゲーを早い時間からする約束をしてた日だなきっと。タイミングが被ってたのか……。



「でも、そんな、物で釣られるとか……」

「ちなみにこれ、使用期限明日までなんだよね。そして明日は日曜日」

「あ、やばいめっちゃ欲しいかも」

「という事は?」

「……………………それください」

「「という事は?」」



 割引券を二枚拝借し、俺は再び二人に背を向けた。耐え難い羞恥に手が震えるが、前金を貰ってしまった以上は要求を聞き入れるしかない。


 スカートを少しだけあげる。恥ずかしい。手が震える、唇が変にもにょる。



「また手が止まってるぞー」

「同性に見せるのがそんなに恥ずかしいかー!」

「はっ、恥ずかしいに決まってるだろ!?」

「でもさっきパンツ実物手に持ったし、なんなら中身も見ちゃったぞー」

「ねえ。ねえってば。やめてそういうこと言うの、本当に」

「恥ずかしがってる所悪いけどさ、何回か一緒にお風呂入ったし今更じゃない?」

「てか更衣室で着替えてる時とか皆下着姿になるじゃん」

「状況が全然違うだろ!? 普段くつろいでる場所で、友達に自分から下着を見せるって……」

「大袈裟でしょ〜。いつも普通に私らの前で着替えるじゃん?」

「そうだけど!」

「早く脱げー!」

「脱げ脱げー」

「くっ……ええい見晒せ!」



 意を決して思い切りバッとスカートを持ち上げる。下半身に風が当たり、スースーした感覚と共に心臓がバックンバックンうるさく鳴り響いている。



「やっぱり透けてる!」

「本当だ、お尻のラインちゃんと見える」

「あのあのあの、じゃあこれ下げてもいいですか!?」

「もうちょっと待って。今スカート下ろすとあたしの顔がすっぽり収まることになる」

「だから顔近づけるなって!!」

「ふぅむ。これ、は、もかちの推理が正解だった感じだな」

「そうだねぇ。小依?」

「なに!」

「これちょっとサイズ合ってないわ。パンツがギューって思い切り引っ張られてる。もうワンサイズ大きいの買った方がいいかも」

「えっ。でもこれ今年の初めに買ったやつ……」

「その時の履き心地はどうだったの?」

「どうって、別に普通だったけど」

「急激に肥えたか、締め付けが好きかの二択って訳だ」

「嫌な二択だな……」



 確認作業は終わったので一歩前に出てスカートを下ろす。全く、なんだったんだ今の時間は。傍から見たらとんだ変態プレイじゃねえか恥ずかしい。



「てか普通に履いてるけど気持ち悪くないの? 股関節の辺りとかすごいキツそうに見えたけど」

「そんな所見ないで頂けますか」

「隅々まで見るでしょ。常識」

「はあ……履き心地に関しては別に普通だよ。普段からこの感じで慣れてるし」

「普段からピチピチなサイズのパンツを履いてるって事? ドM?」

「誰がドMじゃ!?」

「まあお尻のボリュームがある人ってそうなっちゃいがちなのは分かるけどね。私も結構大きいし」

「言われてみればそうか。結乃、スタイルめちゃくちゃ良いもんね」

「よし。こよりん、私と尻比べしよう」

「嫌に決まってますが???」

「なんで? お尻の大きさで私に勝てるかもよ」

「嬉しくないんだわそれ!!」



 結乃は胸もパツパツで尻もプリンとしてるからスタイルが良いのは間違いなくそう。長身だからそれが映えるし。でも低身長貧乳の俺が結乃と尻のサイズで並んだら、もうずんぐりむっくりだろそれは。比較されたくなさすぎる。



「見た感じ小依は骨格から全然結乃より細いちんまりタイプだからお尻で勝ってるとは思えないけどね」

「! だよな、そうだよね!?」

「え、うん。にしてもお尻が大きめなのは事実なんだし、新調した方がいいかもだ」

「むー……気に入ってたのに、これ」



 結局、話の流れで新たな一軍下着を買いに行く事になった。何故か分からないが一部お金を出してくれることにもなり、そこは有難いのだが出費がかさんでしまった。まあ、仕方ないか。この二人以外の人物に見られるという大事故はこれで防がれたわけだし。


 ……でも何回かバッチリパンツを男子に見られた事あるし、水瀬にも、見られたことあるんだよなぁ。もしかして手遅れだったりするのだろうか。そうではないと信じたい。


 ……俺、尻は大きいんだ。その脂肪分、多少胸の方に行ってくれてもいいと思うんですけど。何とかなりませんかね。

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