1匹が1人に
「••••••なんの音だ？」
目を覚ました俺。ただ、物音がする。なんでだ？ 我が家は、うちと椛••••••あれ？ 他に居たっけ。まさかね？ 椛がそんなに大きくなるわけないよな？ じゃあ、泥棒かな？ どちらにしろ怖いだろ。
ガチャ
「誰だ〜？」
「あ、飼い主」
なんか尻尾と頭に耳生やしてる人居た。まさか椛？ 思えば部屋に居なかったし。 いやまさかね。でも飼い主って言ってるし、この耳と尻尾はネズミだろ。うちにコスプレの衣装なんてありません！ と、とりあえず聞いてみよう。
「どちら様、ですかね？」
「椛」
本当に大きくなってた！？ というか人になっちゃった！ 耳と尻尾はあるけど。でも、なんで急に人型になったんだ？
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朝、目を覚ますと私は人になっていた。びっくりしたけど、ラッキーだと思った。会話が出来るから。飼い主の言葉も分かるし、私も言葉を伝えられる。
そして飼い主が目を覚ましてきた。
「あ、飼い主」
そう言った途端、飼い主がめちゃくちゃ驚いてあわあわし始めた。やっぱり人型になったらびっくりするよね。私自身も驚いたし。
「飼い主、落ち着いて」
「よし、落ち着いた！」
早い。
「それにしても、なんで人型になったんだ？」
「私に言われても分からない。起きたらこうなってた」
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なんでこんな事になったのかはさっぱり分からないけど、かと言って動物病院に連れて行ったら絶対面倒なことになるし。相手にされないだろうな。
というか、椛、人型になったから喋れるようになってる。これでコミュニケーションが取りやすくなって俺嬉しい。
「とりあえず、朝ごはん作る。でも人型になったのにペレットってのも良くないよな」
「飼い主、ご飯なら出来てるよ」
え？ あらホント。じゃなくて！ なんで！？ 椛ってネズミだよね！ いや人になったけど、ネズミだったよね。料理の知識なんてあるのか？
「なんで椛は料理作れるんだ？」
「飼い主、いつも朝ごはんは同じ物しか作らないから、見てたらやり方わかった」
もしやうちの子って天才だったりする？
ネズミのハズなんだけど、観察するだけで出来るようになるもんなのかな。
「あ、本当に俺が毎朝作ってるごはんだ。本当に見よう見まねなんだな」
「私は天才だから」
おい、覚えなくていい言葉まで覚えてるぞ。これはテレビの影響かもしれない。
「それで、椛のごはんはどうするんだ？」
「飼い主と同じもの食べるよ」
ネズミだよね？ 人間と同じもの食べていいのか？
「さっきお腹空いて、いつものごはん食べたけど、美味しくなかったから」
人になっちゃったから、味覚と食事も人と同じになったんだな。
「とりあえず、いただきます」
「うん。いただきます」
