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ネズミの暇時間

 最近、椛が俺に懐いてる気がしてならない。いや、これは完全に懐いている! だって、前より明らかに自分から俺に近寄ってくるし? 未だにパンチはされるけど、でも前よりは触らせてくれるし。


 椛が我が家に来て5日目、今日は月曜日。そう、仕事日和である。絶賛社畜中の俺にとって、大事な日なのだ。ただ、仕事に行く日は夕方まで椛1匹になるのが悩みだ。ずっと1匹というのは、流石に気が引ける。


「椛、仕事行ってくるね」



 ガチャ



 ただ、俺も仕事をしないと生活ができない。ペットを構いたい。という理由で休むべきでは無いのだ。椛には可哀想だけど、我慢してもらうしかなさそう。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ガチャ



 飼い主が仕事に行った。仕事の日は朝から夕方まで帰ってこない。この長い時間を1人で過ごす必要がある。ただ、この部屋には娯楽という娯楽は無い。何より寂しい。


 飼い主が毎日観ているてれび? や、すまほ? っていうのもあるらしい。でもファンシーラットである私には何も分からない。面白くない。飼い主が構ってくれない時は暇。

 こんな時は、寝てたら時間が経ってるはず。



 そんなわけ無かった。全然寝れなかった。まだ朝で起きたばかりだから、特に眠くは無いし、でもすることも無いし。


 改めてこの家を見て回ってみよう。まずこの部屋が飼い主の部屋。あと私のケージがあって、飼い主の寝床がある。それくらいしかない。



 トコトコ



 あ、飼い主、出掛ける時にいつも部屋のドア閉めるから、私、1人でこの部屋から出られない。部屋から出て暇つぶしする事も許されないなんて、これはギルティ。一生物の罪だよ飼い主。


 仕方ない。窓から外を眺めてよう。家の前はよく人や野良猫が通るから飽きないかもしれない。


 今も飼い主が••••••? え? 飼い主? 仕事に行ったはずじゃ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 家を出て3分後に、俺は忘れ物をしたことに気がついた。そう、鞄を! スマホとか財布とか仕事の資料とか沢山入ってる、会社員に1番必要であるはずの鞄を!



 ガチャ



「忘れ物忘れ物〜」



 なんかネズミが1匹扉の前で待ってた。察しの通り椛だ。ここ2日くらい、ドアの前に立って出迎えてくれる様になった。

 今は忘れ物を取りに来たんだった! 危ない危ない、忘れるところだった。


「椛どうした〜?」


 鞄を取るために歩くと後ろを追いかけてくる。こいつめちゃくちゃ可愛い。凄くよしよしをしてやりたい。忘れ物を取りに来たけど、少しだけ構ってから行こう。


「おいで、椛」



 トコトコ



 ちゃんと来る。懐くと本当に可愛い。目に入れても痛くないってこういうことなんだなあ。わが子じゃないけど。


「よーしよし、本当に可愛いな」



 ヨシヨシ



 とても気持ちよさそう。頭を撫でられるのが好きらしい。そういえば、まだ顎とかお腹とか触ったことないけど、どんな反応をするのか気になるな。

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