掌の温度
怒ってなかった。嫌われてなかった。でも、やっぱり触らせない。まだ許してないから。
1回触らせたのは、ただ飼い主が構ってくれるか確かめただけ。そう、特に気になったとかじゃない。興味なんてない。でも、もう1回だけ、良いかもしれない。
トコトコ
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椛が近づいてきた。それも本当に近く! 今すぐ触れそうなくらい。俺と仲良くしようとしてるのかな。分からないけど、触っていいのかな。また叩かれたり••••••。
ポスッ
あ! 頭に指を置いても全然嫌がらない。これは、心を許してもらったのか!? というか、こいつの顔、凄く機嫌良さそうだな。
サワサワ
撫でてみても抵抗しないって事は、心を許してくれたのか? 拝啓、親愛なるお母様。私、あおいはファンシーラットに心を許してもらいました。凄く嬉しい。
「椛、嫌じゃないのか?」
目をつぶって、凄く嬉しそう。これは俺に慣れたって事でいいのか!? いや、絶対そうだ。懐いてくれた! 決まり。
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私は今頭を撫でられている。正直、嫌な気はしない。むしろ••••••良いかもしれない。こんな感覚は初めてで、よく分からないけど、良いってことは分かる。
スッ
あっ••••••終わっちゃった。まだ、もう少しして欲しい。いつもあんなに触ろうとしてくるくせに、いざ触るとすぐ終わる。変な飼い主。
トコトコ
どう? 飼い主。もう少しする気になった? 早くやって。
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今日の椛は甘えん坊なのかもしれない。撫でるの辞めると近づいて、もっとやれと言わんばかりにこっちを見つめてくる。可愛い! かなり! そんな誘惑に耐えられる訳もなく。
「可愛いな〜」
サワサワ
めちゃくちゃ嬉しそうな顔をして、無抵抗で撫でられ続ける椛に、俺はすごく萌えた。凄く母性がでてきた。男だけど! とにかく、守ってあげたくなるのだ。そんな可愛さをしてる。
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飼い主は私の行動の意図を察したのか、またすぐ撫で始めた。飼い主の手は少し冷たいけど、そんなこと気にならない。凄く気持ちがいいのだ。頭を撫でられるのがここまでいいとは思わなかった。
はっ! いや、別に撫でて欲しかったわけじゃ。ただ実験。試してみただけ。いつも撫でようとしてくるから、撫でられると、どんな感じなのか気になっただけ。別に飼い主のことは好きじゃない••••••。
でも、しばらくはこのままでも良いかも。
結局飽きるまで撫でてもらった。