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3日目の一幕

 手を叩かれてから2日後、椛が我が家に来てから3日目だ。相変わらず近づくと逃げられる。手を出したらもちろんパンチだ。

 部屋に慣れてきたらしく、部屋を歩き回るけど、俺には目を合わせてくれない。触ろうとすると明らかに機嫌の悪そうな顔をする。



「椛〜おいで」



 パシッ



「ダメかぁ。何がダメなんだろうな〜」


 そう、この有様だ。ファンシーラットは群れで生活するから1匹だと寂しがり屋になるって、人懐こいと確かに店員に聞いたんだが、この子はずっと1匹。

 寂しがり屋じゃなくて、人に強い警戒心があるなんて、ついてないな。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 このあおいと言う飼い主は、私に構ってくる。この人の事は正直好きじゃない。構ってくるのだって少し鬱陶しいくらいだ。



「椛〜」



 パシッ



 また手を伸ばして私に触ろうとしてくる。何度このやり取りをしたか分からないけど、よく飽きないなって思う。でも

このやりとりは、正直嫌じゃない。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



ん〜、椛に叩かれるのは良いんだけど、叩かれて俺が手を引くと勝ち誇ったようなドヤ顔をしてくる。椛にはすごく人間らしさを感じる。顔で感情が読み取りやすい。言ってしまえば、すぐ顔に出るおバカなのだ。だがそこも可愛い。


「なあ、お前はなんでずっと警戒心が強いんだ? 3日も俺と生活してるのに」


 まあ、ファンシーラットにこんなこと言っても伝わらないよな。ほら、首を傾げてる。やっぱり分かってない。



「あ、忘れてた。買い物買い物」


 今日は土曜日で休みだから買い物に行くつもりだったんだ。完全に忘れるところだった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 飼い主が服を着替えて外出の準備を終えた。今日は家に居ると思ったのに。



「それじゃ、行ってくるよ椛。すぐ帰ってくるからね」



 ガチャ



 あ••••••行っちゃった。今日も仕事? やっぱり仕事に出かける日は暇だ。あの人は好きじゃないけど、いざ飼い主が居なくなると暇で仕方がない。



 トコトコ



 いつも暇な時は部屋を散歩してるから、壁紙や物の配置を覚えた。いつも通りで面白くない。飽きた。飼い主早く帰って来てくれないかな••••••。



 ガチャ



 飼い主、いつもより早く帰ってきたくれた?



「ただいま〜椛」



 飼い主が帰ってきた。いつもより帰ってくるのが早くて。正直、少しだけ嬉しい。



 パシッ



 でも、まだ触らせたくない。調子に乗らないで、飼い主。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 この3日間で、初めて椛がドアの前で待機していた。偶然かもしれないけど、俺が部屋に戻った時、少し嬉しそうな表情をしていた。でも気のせいだったみたいだ。触ろうとしたら、案の定叩かれた。


 ファンシーラットの飼育って、思ったより大変かもしれない。この休日で頑張って仲良くなろう。

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