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花飾りの約束  作者: ツルギ
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悪夢からの目覚め

 レオンは注射器を春花に見せる。

 「これは私が作った注射器です…ですがこれは一本しかありません」

 「失敗は許されないってことね……」

 二人は注射器を見ていると静かだった館の方から突然女の叫ぶ声が聞こえ一斉に館へ振り向く叫び声が収まると静けさが戻るがそれと共に春花は走り出した。

 「あ!春花さん!!ハク!春花さんを!」

 「わかってる」

 ハクは春花を追い館へ入って行き、レオンは注射器を丁寧に箱へしまい後を追ったのだった。


 

 レオンはひと通り話し終えると代わって春花が口を開く。

 「エリザは能力の効果が切れると程なくしてその身は朽ち果て消えたわ……だからもうあなたたち兄妹を邪魔する者は居ない」 

 春花はそっとエヴィに近づくと優しく背中をさする。

 「………やっと…終わった…」

 糸が切れた様にエヴィの瞳には涙が頬を伝うと今まで我慢していた思いが吐き出される様に泣きじゃくっていた。

 それは薬で支配されていたルディも同じで涙を流していた。


 二人は悪夢から目覚めた瞬間だった。


 

 数日後には完全にエヴィは回復していた。


 紅茶の香る店内は良い雰囲気で落ち着く空間だ。

 「春花さん本当にありがとうございます」 

 穏やかな表情のエヴィはここで出会った頃の面影はない。

 「私は私が助けたいから助けただけ……」


 いや…違うわね


 春花は何かを思い出すが、それはすぐに不思議そうに春花を見ているエヴィによって掻き消された。

 「それより次はどこに行く?」

 「えっと……あっそういえばレオンさんはどこに行ったのですか?」

 「レオンはどうしても行きたい場所がある見たいよ」

 春花とエヴィは楽しい時間を過ごした。


 

 「あなたは確かこの前来てくださいましたね」

 にっこりと笑顔を向けるシスターの先にはレオンが一礼をしていた。

 レオンは迷うことなくエヴィとルディの両親、ルークとアリシアの像の前で立ち止まる。

 「何か気になる事でもありますか」

 「あ……いや…何でもありません」

 何かを尋ねようとするがレオンは言うのをやめじっと像を眺めていた。

 「ふふっでは少し私の話を聞いてくださいますか?」

 思いがけないシスターの言葉にレオンは視線をシスターに向ける。


 「私の家はお金持ちでした。この教会は街の人々の声の下、私の叔父が建てたのです。私は叔父が大好きだったのですぐにこの教会も大好きになりました。そしてこの像はそんな叔父のご友人が設計し作りあげました。そのご友人はこの像の怪人をすごく慕っていたわ…一度だけこの像を作っているところを除いたの…そうしたら…」

 「そうしたら?」

 「すぐに見つかってしまった…でもそのおかげで色々お話をしました。一見暗そうに見えてとても情熱が伝わるほど……」

 

 シスターは像を見ているがどこか遠くを見ていた。

 「この像を作り上げ教会も公開して皆がキャンドルを捧げに来てくれました………ですが数年後あの人は…」

 「大丈夫ですか」

 「あ…あら…ごめんなさい」

 シスターは慌てて皺のある手で涙を拭っていた。

 「ふふ…私はなぜ小さい頃の話までしてしまったのでしょうね…聞いてくれてありがとうございます」

 シスターとレオンは二人で像を眺めていると若いシスターがやって来た。

 「シスター・アイリーンここに居たのですね……あれあなたはこの間の…」

 「先日はご案内していただきありがとうございました」

 「いいえいいえ!また何かありましたら聞いてください!あっそれよりもお薬の時間です行きますよ」

  若いシスターはシスター・アイリーンを連れて行こうとするがアイリーンは咄嗟にレオンの手を掴む。

 「この教会の裏にあの人のお墓があります」

 その言葉にレオンよりも若いシスターが驚いていた。

 「えっ…ごめんなさい。シスター・アイリーンここ一年くらいあまり話す事無かったのに……あっお薬!失礼します」

 

 

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