優雅な場所
「何あれ…」
皆が思っている事を春花は思わず口にする。
「店員が運ぼうとした物をわざわざあの子供に運ばせたんだ」
「え…」
答える様に話したのはハクだった。店の奥にいる女と子供は、ハクの位置からは真正面、一部始終を見ていたのだ。
「それにあの女、子供の手を踏んづけてるから子供は立ちたくても立てないんだ」
ハクはその女な方を見ながら話しているとその中に春花が加わり、追いかけるようにレオンもいた。
春花は居ても立っても居られず女の前に行き、「何してるの」と言おうとしたが途端に止まる。
私…ここの言葉話せなかった……
下を向く春花に女は話しかけるが、自分に話されているとは思わず黙る春花の後ろからレオンが答えた。
「いきなり何なのよ!あなた達!」
「はは、すみません。私の連れが失礼しました……ですが、ここは優雅な時間を楽しむお店です。それに…この女の子の手は踏むものではない…貴女はそれをわかってます?」
レオンは春花には見えない様に自分の頭に指を指し女を挑発するが、男のレオンには敵わないからか顔を真っ赤にさせ、隣に座る男の子に深々とフードを被せると、強引に手を掴み店から出て行く。
静まり返る店内からは音楽が聞こえてくる。
「大丈夫?」
春花は赤く腫れた女の子の手を優しく両手で包む。
「………」
「やっぱり言葉が……」
言葉の壁に絶望している春花だが、女の子はありがとう言うように笑顔を見せる。
か、可愛い!!
「春花さんお取り込み中申し訳ないのですが、かなり目立ってしまいました…なので店を出ましょう」
本当は関わりたくなかったレオンは女の分のティー代も払い手当するため女の子を連れて館へと帰った。
手当を終えると女の子はゆっくり話し始めた。
「私は……エヴィと言います………先程はご迷惑をお掛けして皆様の大切なお時間を壊してしまい、申し訳ありませんでした…」
レオンは通訳するがそれよりも春花は気になっている事があった。
「それは大丈夫だけど……何でカーテンを閉めてるの?曇りだけどまだ昼間だから開けた方が…」
春花達のいる部屋は電気はつくがそれでは心許無く、幾つかランプも点けていた。それもカーテンを開ければ済む話だが、館に着くとレオンが素早く外からの光を遮ったのだ。
「春花さん、実はこの館には3つの秘密があるんですよ。1つは館は人間には見えないこと、2つ目は館が許した者は中に入れるが、3つ目は人間はこの館に入れないこと、です」
「ちょ、ちょっと待って…なら私は何でここにいる事が出来るの?」
初めて館の事を知る春花は館にそんな秘密があることに驚いていた。
「それは春花さんは人間ですが、この館の住人で館もそれをわかっています。なので見えますし入る事も出来ます」
「そうなんだ…ならエヴィは………人間じゃないの?」
「そうです。エヴィは人間ではない……そうですよね?エヴィ?」
全員の視線がエヴィに注がれた。




