辿り着く場所
窓の外は暗く何も見えない。幸い灯りは着き、話し合う様に椅子へ座り、状況についていけない春花はレオンにマオの事を聞いていた。
「マオ様は人でも妖怪でもありません。地獄の神…と言った方がわかりやすいですね。だからと言って怖い方では無く、むしろ優し過ぎるくらいなんです」
春花はレオンの言う通り怖い印象は無く、地獄とは無縁にも思っていた。
「ですが、敵と見做された時は人や妖怪…神以外は簡単に死を与えるでしょう……まぁ、あまり会う事ないので大丈夫ですよ」
「そ、そうなんだ…」
地獄の神…こんな事が出来るなら、人なんて手を使わなくても殺せるんだろうな…
何も見えない暗い窓の外を見る春花はそんな事を思っていると、いきなり眩しい光が差し込む。
「何!?」
眩しさで目を瞑っていた春花はゆっくりと瞼を開ける。
そこは木々が生い茂る森の中だった。
春花とレオンはマオが作った玄関で外へ行き、ハクは留守番をしていた。
「とりあえず着きましたね」
「ここって…人の世界?」
少し歩き辺りを確認するが、妖怪が住む異界とは違い空気が澄み何より妖怪を見かけない。
「そうですね…もしかすると、妖怪の世は危険なのでマオ様が人の世へと行ける様にしたのかもしれません」
「そこまで考えてくれるんだ…」
春花はますます地獄の神とは思えなくなったのだった。
あれから3日間経ち食料も尽きかけた頃、館は森を離れ再び暗闇を進む。だが、それも1日で済み次は誰もいない島へと辿り着く。
そこでは2日間、食料の魚を三人で釣り、合間で貝や木の実も取ると次は街の近くの森へと辿り着く。
春花、レオン、ハクは館を出ると街まで歩いた。しかし、そこは春花の知る景色では無い。人々は皆、洋装。和服の者は誰一人いなくレオンの様に背が高く茶髪や金髪の人々が歩いていた。
「春花さん、ハク、出直しましょう」
「そうだな。俺は姿が見えないが和服の春花は目立ち過ぎる」
レオンはできるだけ春花を周りに見えないよう、自分に引き寄せた。
何とか館に戻り春花は、藤光から何着か貰ったドレスを用意する。前に着た時を思い出し着てみた。前回は手伝ってもらっただけに綺麗に着れていたが鏡に映る春花は少し不恰好だ。
「もう、これで良いわ…」
諦めた様に帽子を被り、春花は部屋を出るのだった。
玄関へ行くと既にレオンは居るが、先程はワイシャツ姿が、今はベストとコートを着ていた。
「レオンすごい!」
「春花さんも似合ってます…あっですが、髪をこうすると…」
レオンは春花の後ろへ回ると三つ編みをする。すると、持っていたリボンや髪留めで髪を綺麗にまとめ上げた。
「これでしたら誰がどう見ようと貴族に思いますね」
「貴族…」
春花は近くの鏡を見ると感動して自信を持って街へと繰り出したのだった。




