導く光
レオンに触れた瞬間、春花の瞳は光を帯び輝く。
その様子に気づく物はいないが、不意に聞こえた声で春花は振り向く。
「良かったな……」
スイゲツの独り言だった。もちろんレオンには最初から見え聞こえていた。そんな春花とスイゲツの視線が交わる。
「見える様になったんだな」
「………うん!」
笑顔からは再び涙が溢れた。
元から物が無かった春花は帰り支度はすぐ済み玄関で藤光を待っていると、藤光と一緒にマオが現れた。
「やぁ!春たん早いね!」
「えっあの時の……お客様」
驚く春花だが、それよりも二人の会話に眉を顰めたのはレオンだった。
「いつの間にお二人は知り合いに?」
春花の事になると怖いと思ったマオは話を逸らす。
「いーやーそんな事より皆んな揃ったんだから行こう行こう!レオン、そんなに眉間に皺を寄せてると春たんに嫌われちゃうよ!」
さっさと出ていくマオにレオンは溜息を吐いた。
一行は長い時間列車に揺られ春花が住んでいた家へと着く。その中には藤光と矢鷹もいるが館裏の物置蔵を開くとそれ以上は入っては来ない。
マオは藤光の肩にいる妖狐に触れる。
「いつまで身体を奪われているんだ?ハク」
妖狐は勢いよく藤光の肩から降りると人型へと姿を変えた。ハクだ。
「ハク!」
「……春花」
「元に戻って良かった…」
笑顔の春花につられてハクも微笑む。
「準備できたよ!」
レオンとマオが蔵から出て来ると藤光は春花の前に立つ。
「本当は今でも君を行かせたくない…ずっと側にいて欲しいと思ってしまう。でも、それよりも春ちゃんには嫌われたくない…」
「伯父様…」
「それにね何よりも、君の周りには素敵な仲間が居るとわかって安心もしたんだ」
藤光はレオンと目が合い春花を見つめる。
「伯父様」
「春ちゃんこれを持っていて欲しい」
春花が受け取ったのは数珠の腕輪だった。
「あちらでは何があるかわからない。だから、春ちゃんの身を守ります様にって祈りを捧げ作ったんだ」
左に腕輪をすると紫や透明の数珠がキラキラと陽の光を反射する。
「綺麗…大切にします…伯父様、今までありがとうございました」
深々頭を下げる春花に藤光は頭を撫でる。
「まぁ、これで最後じゃないんだ。また遊びにおいで」
「……はい!」
春花は最後に藤光に抱きつき別れを終えた。
「スイゲツ、行こう」
藤光の隣から微動だにしないスイゲツに春花は声をかけるが、それでも動こうとはしない。
「ハル、ここで別れだ。俺は藤光様と共にする。ハルがレオンと一緒に行く様に」
「そっか…」
「ああ、いつかそっちに俺が戻るまで皆んなをよろしくな」
「うん!スイゲツも伯父様をよろしくお願いね」
「任せておけ!」
春花はどこかそうなる事をわかっていた様に安心し清々しい気持ちで蔵へと姿を消した。




