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花飾りの約束  作者: ツルギ
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月あかり

 時が止まった部屋の中心にハクは立ち尽くし目を瞑る。

 机や棚には埃が被り、日が当たっている場所は色褪せ、今は一つしかない小さい丸い窓からは月明かりが差し込み丸く照らされていた。

 今にでもあの声が名を呼んでくれる…そう思ってしまうほど愛しさが滲み出そうなるハクをスイゲツは呆れ顔で胡座をかきながら頬杖をつく。

 

 コイツもう二時間以上微動だにしてないが大丈夫か?


 この桜井の館に着いてからハクは無言で春花から離れ今の部屋にいる。スイゲツはそんなハクに勝手に着いて行ったが、単純に藤光といるのが嫌なだけだった。

 つまらないスイゲツは机の引き出しを開ける。

 そこには数枚の写真。家族写真には両親と男の子。他の家族写真には男の子が写っている位置に女の子がいた。当時だと高価で珍しいがその中でもスイゲツは一枚の写真を手に取る。

 写っていたのは椅子に座る男性。普通の人なら一人だけに見えるが椅子座る男性の周りには妖怪が一緒に写っていた。

 

 これが…光一郎か?じゃあ、両肩にいるのがハクとコクコ…なら後ろに立つこの髪の長い男は誰だ?


 疑問に思いながらも、楽しそうな写真にはスイゲツが知っているレオンは居ないが、光一郎の膝には人形が座っていた。

 スイゲツは写真をそっと引き出しにしまう。

 再びハクを見るとぼーっと目を開けていたが途端に金色に光り出す。コクコだ。

 しかし、スイゲツはどういった時にコクコが出るのか知らなかった。

 「やっと終わったか?」

 「………」

 「おい!こっちは何時間も待ったんだ無視する…な…」

 ハクはスイゲツの声で振り向いたと思ったらゆっくり近づき座るスイゲツに優しく抱きつく。

 「な、ナニスルンダ!!」

 眉間に皺を寄せ裏返る声。動揺するスイゲツは抱きつく腕が震えている事に気がつく。

 「おまえ…泣いて…」

 音も無く泣き続けるコクコは耳をピクピクっと動かすとスッと立ち上がりスイゲツを置いて部屋から出て行く。

 「って!待てよ!」

 スイゲツはコクコを追い、隠し部屋から出ると何もない光一郎の部屋からも出て行った。

 

 

 春花と藤光は向かい合い話しを始めるが扉を叩く音で話しをやめ藤光は扉の方へと歩く。

 「どちら様ですか…」

 扉をを開けるとそこには礼子が立っていた。礼子は藤光と目が合うと涙を流しながらその場で膝をつき土下座をする。

 「どういうつもりかな?」

 「……藤光様どうか……春花をよろしくお願い致します。至らない姉でしたが、この桜井家に少しでも入れた事…嬉しゅうございました」

 「……それだけかい?」

 「………はい」

 「顔をお上げ礼子」

 藤光はしゃがみ込む。顔を上げる礼子の顔にパンッと叩く。

 「君が春ちゃんにしていた事は良く知っているよ…良くも可愛い姪に……」

 藤光は何回もパンッと叩き終えると小声で春花には聞こえない声で話し始めた。

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