リボン
視線を切るようにスイゲツは目の前に立つ。
「あっごめん何でもない…行こう」
再び歩き出す春花は今度は周りを見出し青ざめる。
「ねぇスイゲツ…スイゲツは幽霊は見えるの…例えばあれとか」
小さく指を指す方には片腕の無く血みどろな男がゆらゆらと揺れながら立っている。
「当たり前だ。それに幽霊なんてその辺にたくさんいる…ほらあそこにも」
今度はスイゲツが指を指す方を春花が見る。そこには首が無く腰から刀を下げている幽霊がいた。
「………」
「幽霊見てたら切りが無いから行くぞ」
「…うん……見なきゃよかったわ…」
地図に書いてある角を曲がり裏道に入ると先程とはがらりと変わり、入り組んで人通りはまばらだ。
「うーんあと少し何だけど…何て書いてあるか読めないわ…」
レオンが書いた地図には西洋の文字が混じったりしており春花は読めなかったが、今まで黙っていたハクは鼻を上にあげ匂いを嗅ぎ、歩き出した春花とスイゲツは後を追うと数分で目的地へと到着した。
暖簾に港と書いてある店には店名が書いてあるか看板などは無い。
久しぶりに人と話す春花は喉を整える。
「うんっあっあっあっ…うんっ良し!」
だが、春花は一向に店へ入らない。
「あっあっっうんっ……」
「いいから早く行け!
痺れを切らしたスイゲツは春花の背を押し、よろけた春花はよろよろと店へと入った。
-呉服屋-
「この着物は贈り物ですか?桜井様」
美しい紫色の着物は見ただけで高価な事がわかる。
「そうなんだ可愛い姪への贈り物さ」
「まぁ!それならこちらの帯はどうですか」
「良いね。それにする…」
「畏まりました!身丈はいつもの様でよろしいですか?」
女将は帯を畳ながら質問するが、返答が無い。男の方を見ると外をじっと見つめていた。
「どうされました?」
「いいや、ちょっと珍しいものを見ただけだ」
男の目は興味を示すように見開いていた。
「さ、左様でごさいますか…」
先程とは違った雰囲気に女将は戸惑うが杞憂に終わる。
「あっそうだ!今日はこれを頂いていこう」
手に取ったのは大きな赤く美しい和柄のリボンだ。
「お、おりぼんですね…かしこまりました。今包みますのでお待ちください」
手際よくリボンを木箱に入れ可愛らしい色の包みで包む。
「お待たせ致しました」
お金を払い男は上機嫌で呉服屋を出て行き外で待っていた付き人二人に買ったものを渡すが、既に付き人二人の両手は塞がれていたのだった。
「さっ!次行こう!」
付き人を置いてさっさと次の店へ歩き出す。
「お待ちください藤光様!!!」




