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花飾りの約束  作者: ツルギ
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自由な翼

 見上げる春花の目線はスイゲツだ。次に周りを見るが自分が宙に浮かんでいる事に気がつく事は時間がかからなかった。

 「ハル、振り落とされないようしっかり捕まって」

 目が合うスイゲツの表情は楽しそうに烏天狗からの弓矢を避け飛び回る。

 「くそ!ちょこまかと…当たればいい打て!」

 大勢で攻撃するが、スイゲツは見事に飛んでくる矢を避け、人差し指を動かす。水が顔に纏わり付き覆いつくし、溺れた烏天狗達は急降下し森へと消えて行く。

 最後に残ったのは春花も見覚えがある烏天狗、レオンを半殺しにしハクを殴りつけた烏天狗だった。

 「スイゲツ様…いやスイゲツ!!覚悟!」

 「兵隊長か…少し面倒だな」

 兵隊長は他の烏天狗とは違い、身体が大きく桁違いの筋肉をしている。そんな隊長は槍を持ちスイゲツに高速で飛び近づいて行く。

 「君と戦うとは思わなかったよ」

 春花を守りつつ隊長の攻撃を見事に避ける。

 「神通力か!読まないと我についていけないのか!!スイゲツ!!!」

 「だったら何だ」

 「卑怯者め!」

 「結構」

 

 全力で数分続く攻防戦は流石に息が上がり、スイゲツと隊長は一斉に距離を取るが、一瞬の隙で攻撃をしたスイゲツの手は先程の人差し指ではなく何かを握るように拳を隊長の方へ向ける。

 硬直した隊長は上を向き、口が開く。口からは唾液や体内の液体が出始めていた。目は見開き涙が宙を舞う。見る間に搾り取られる水分。目は充血を超え徐々に干からび始めた。

 スイゲツは本気で仕留めようと更に拳を強く握り締める。

 隣にいる春花はその光景を見て過去の自分が脳裏をよぎっていた。

 唾液が出ない。霞む目に涙は枯れ果てた生き地獄だったあの時を。

 敵と分かっていても春花は勝手に身体が動いていた。

 「やめて!死んじゃう!」

 「生かしておく方が厄介だよハル」

 どうにか辞めさせようと握る手を開こうとするがびくともしない。

 何か…何か…

 焦る春花はある事を思いつき覚悟をする。

 一か八か…少しでも気をひけたら……

 「スイゲツ!こっち見なさい!!」

 初めて春花に名を呼ばれたスイゲツは拳を握りながら振り向く。そこには春花の顔が息がかかるほど近く唇が重なり離れる。

 「え……」

 不意打ちだったスイゲツの手は緩み春花はその手を使わせないように手を繋ぐ。

 解放された隊長は森へと落下した。

 「逃げよう」

 春花の声で我にかえるスイゲツはハクの方を見る。

 「狐さん!一番大きい火球を俺に当てろ!!」

 一部始終を見ていたハクは何発をも火球を思い切り放つ。それをスイゲツはわざとぶつかり水除気爆発を起こしその隙に今までよりはるかに速いスピードで飛び去った。

 意図を読んだレオンとハクも素早く山を降り村を出たのだった。


 嵐が過ぎたように静かになった山頂には先程までスイゲツが身に付けていた当主の証、天狗の面が落ちていた。ザンゲツはそれを拾い上げ独り言を言っているカゲツを見つめ肩を落とした。


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