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花飾りの約束  作者: ツルギ
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選ばれた子

 「ハル…食事を持って来たよ」

 無言で目の前の果物を食べ始める春花を切ない瞳で見つめていた。

 「昔、この烏天狗の村は廃村寸前だった」

 暗示をかけている春花は聞いているのかわからないがスイゲツは自分で見た事を話し始めた。


 この烏天狗の村は十数年前は朽ち果てた家が数軒あったりと、荒れ放題だった。長年の不作に何日も降らない雨に井戸の水が干上がり、逃れるように村を出るものもいた。

 その中でスイゲツが生まれた。

 喜びは無く誰もが目を疑った。烏天狗の黒い羽は無く、赤子の背には純白の美しい羽があったのだ。それに加え烏天狗の黒い髪ではなく羽根と同じように白い髪。この村の烏天狗はみな濃い赤い瞳だが、深い青色。

 両親や親族、村の誰にも似ていなかった。そのせいもありスイゲツの母親、ヒヨリは村の皆から責められ蔑まされた。

 立派な子も生めない出来損ない。本当は全く違うどっかの妖怪との子だ。当主の家に托卵などあってはならない。

 日に日にやつれるヒヨリは、それでもスイゲツの父カゲツが盾になってくれた事で気を強く持っていた。


 ある日、カゲツはヒヨリにある事を言ったが次の日の朝、ヒヨリは村を見下ろすように、村の一番高い木に首を吊っていた。飛べないように自分の羽を縛って。

 朝日が差し込む木々、村の子供達は途切れ途切れの木の影を踏み遊んでいたが、一人が変な影を見つける。その影は棒状で何故かゆらゆらと揺れていた。跡を辿るように揺れている影の木を見つけると子供たちは走って家に入ってしまった。それが第一発見者だ。

 ヒヨリはすぐに木から下ろされだが、顔は土気色になり呼吸はしていない。

「ヒヨリ!!ヒヨリィ何故だ…」

 カゲツは涙を流し動かない冷たいヒヨリの手をいつまでも握り泣いていた。

 その隣で笑う赤ん坊。カゲツは次第に悲しみより憎しみが勝っていた。今までそれでも、赤ん坊と一緒にいたがそれ以降は顔も見に行かなくなっていった。

 

 「俺は全て覚えているんだ。母の思いも父の憎しみも聴こえていた…この力…神通力は皆が持っていると思っていたが、そうじゃ無かった。気がついた時にはもう遅かったけど…」

 食べ終えた春花の頭を撫でる。

 「この力に気がついたのは祖父だった…」

 それ以降、祖父はスイゲツを腫れ物を扱うようになり父を差し置いて次期当主になる事が決まったのだった。


 「でもそれも終わりだ…ハルは俺の暗示の中にいればいい」

 

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