散らかった羽
「誰だ。こんなに汚した奴」
あからさまに不機嫌になるハクは掃除道具を持って来ると言い部屋には春花一人になっていた。
「それにしても…どうやったらこんなに」
とりあえず羽だらけになっている布団やシーツをベッドなら取る。すると布団の中から何かが落ちる。それは春花の顔より数枚重なった羽だ。
「この羽折れてる…まぁ置いて行ったってことは要らないわね」
羽は屑籠に入れ春花は片付けを始めハクが戻って来ると掃除をしたのだった。
「やっと終わったな」
「ハクがいて良かったわ」
二人は灰になりそうになりながらも、使えそもないものや出たゴミを焼却炉で燃やした。
「お二人共、お疲れ様でした!」
時間を気にする暇もなくすっかり夜になっていた。レオンは診療を終えて春花とハクに食事を振舞っていた。
「とても助かりました。あの部屋は3日前に出て行ってから忙しくてなかなか掃除できなかったんです」
「あの部屋に居た妖怪って何だったんだ?」
「確か……山奥に住んでいる天狗だったと思います名前は…」
三人は誰も居ない館。春花の部屋にいるが、廊下の方から足音が聞こえて来る。その音は早く走っているようだ。
「さ、寒い…」
春花は手の甲を摩り始める。
それに気がつくレオンは咄嗟に掛け布団を春花に掛ける。部屋のドアが開くと寒さの主がいた。
「雪ちゃんどうしました?春花さんの部屋に来てはダメですよ」
雪女は白い吐息を吐きながら慌てて話す。
「大変です…烏村の烏天狗達がいきなり来て、先生を出せって…その中にこの前までいたスイゲツさんがいて…探し物があるって言ってます」
「わかりました。今から行きます…春花さん本当はもっと一緒に居たいのですが少し行ってきます」
レオンと雪女は出て行き静まり返る部屋。
「さっき雪ちゃんが言っていたのって私たちが清掃した部屋の…」
「気にするな」
「でも!」
「はぁーなら耳をつけろ」
面倒くさそうに立ち上がるハクはさっさと歩き出し春花はその後を追う。
「いいか、外に出たら絶対に喋るな。天狗に人間だとバレたら面倒だ」
「わかった」
ハクはあっそうだと言うと思い切り自分の指を噛む。傷口からは血が垂れるが、その血を春花の額に当てると狐と書く。
「レオンよりも効果的だ。なんせ本当の妖狐の血だからな」
「ハクありがとう」
「………行くぞ」




