救いの声
「よく来ましたね春花それとハク。会いたかったです」
アマビエは春花に近寄ると微笑む。
う、美しい…いや眩しい!!でもお礼を言わないと…
廊下を歩いている時レオンは春花が来た時の状態を話していた。
「アマビエ様、助けて頂きありがとうございます」
「……頭を上げてください。私は私が出来ることをしたまでですよ。あなたがひどい環境下にいた事、感染症や病。それよりも、あと数秒遅かったら私は春花を救えませんでした。あなたは良く頑張りました…良く頑張りましたね…もう一人ではありません。私たちがいますよ」
優しい声。なんて暖かいの。まるで……
春花の頬には一筋の涙が伝う。久しぶり誰かから褒められた。心が軽く報われる。この感情は小さい頃以来で、春花は無意識にアマビエに抱きつく。アマビエもまた春花を包み込む。
母が居なくなってから自分から抱きつく事をしていなかった春花に、ただ静かにアマビエは春花の気が済むまで頭を撫でながら抱きしめた。
お母さん…
「落ち着きましたか?春花さん」
レオンは淹れたばかりの熱いお茶を春花の前に置く。しかし春花は頬を赤らめて恥ずかしそうに頷いていた。
そんなやり取りを眺めるアマビエは、先ほどとは打って変わって冷たく言い放つ
「レオン、あなたはそろそろ診る時間になりますよ。迅速に説明しなさい」
背筋が凍りつく様な眼差しにレオンは用意していた紙を春花に渡す。
「春花さん、あなたには主に雑用をやってもらいます。洗濯や掃除とかです。この紙にどの部屋か書いてあります。わからない事がありましたらハクに聞いてください」
「わ、わかったわ」
早速と部屋を出るレオンは一礼をしドア閉めた。
「大丈夫ですか?春花」
「大丈夫ですそれにハクもいます!アマビエ様…本当にありがとうございました。またここに来てもいいですか?」
問いかけにアマビエは穏やかな顔つきだ。
「いつでもいらしてください」
春花たちは部屋を出ると指定された部屋へと移動する。アマビエの部屋に行くときに潜った鏡を出ると見覚えのある廊下が現れる。
「あれ?場所が変わってる?」
「当たり前だろ、あいつの所へ行けるのはレオンだけだ。そこを出たら俺も春花も行けないそうなってるんだよ」
「そうなんだ…いつでも行けるわけじゃないのね」
あからさまに落ち込む春花にハクは横目で見る。
「まぁ行きたくなったらレオンに連れてってもらうんだな」
思いがけないハクからの言葉はちゃんと春花に伝わって二人は目的の部屋へと向かう。
「そういえば、私がいる館は私以外誰もいないんだよね?私たちが向かう部屋ってもしかして…」
「ああ、外へ出て別の館に行くぞ」
「やっぱり…」
初めて外に出た時を思い出す。初めて見た妖怪らしい妖怪。春花は震える足をハクに悟られないように歩くが上手くいかない。
「怖いのか?」
いつの間にか前を歩いていたハクは春花を見ている。
「………」
怖くないって言えば嘘になる…でも自分の力で何とかしないと…隙を見せてはダメ…




