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爬鎧類戦争(ハガイルイセンソウ)  作者: ヒレカツ寺本
第一章
11/16

第十一話  声明

少しずつヨロイの事がわかってきましたねー。


それでは第十一話、お楽しみくださいませ。



      ヨロイ襲来から七日。高円寺の内田家。


 父はリビングでパソコンを開いていて、その横で母はテレビを観ている。友美は二階の自分の部屋にいる。一見、普通の日曜日のようなありふれた光景に見える。外は危険そうなのと、電気などのライフラインは問題ないので、避難する事はひとまずやめて、家にいる事にした三人は、外出を極力やめ、家にこもっている。

 友美は、自分の部屋で友達とメールで安否確認と暇つぶしをしていた。


 風花〔暇なんだけど〕


 友美〔遊びたいね! フウカもヨシノも会いたいよー〕


 佳乃〔会いたいねー。でも、うち厳しいから当分外出禁止だわ〕

 

 友美〔うちも!〕


 風花〔夏休みどこも行けないの棺桶〕


 友美〔棺桶〕


 佳乃〔そういえばヨロイの動画見た?〕


 風花〔知らぬ〕


 友美〔存ぜぬ〕


 佳乃〔MUM【マム】で上がってる動画! 再生回数すげーんだけど、ヨロイがしゃべってんの!〕

 


 ※マムとは、MUM【my up movie】という最近流行りの動画サイトである。

 あと、メールの会話に出てくる〔棺桶〕というのは、この時流行っていた言葉で、〔最悪!〕とか、〔死んだ!〕などの意味がある。

 


 静かなリビングに、二階からドタバタと友美が降りてきた。


「ヤバいヤバい」


「何だ騒々しいな」


 父がイラつく。


「ちょっと見て見て!」


 と言いながらソファーに座り、スマホの画面を見せる


「なになに」


 と母が近づく。父も面倒臭そうに近づく。


「あー、やっぱテレビ繋ぐわ!」


 と、テレビをMUMに繋いだ。テレビにつながっているキーボードをカタカタ叩く。


「まだ全部見てないんだけど、ヨロイがヤバいんだって!」


 父と母は顔を見合わす。そして動画が再生された。


 テーブルに鱗だらけの手を置き、椅子に座っているヨロイと思われる生き物。ギョロッとした目でカメラを見ている。

 最近のテレビでは、戦闘時の映像が何度も放送されていて、ヨロイはもはや馴染みの生物だが、こんなに鮮明に映った映像はあまりない。


『みなさん』


「しゃべった!」


 驚きが出てしまった父。しゃべったところは見た事が無かった。


「しっ」


 制止する友美。


『私はみなさんに、ヨロイと呼ばれる者です。本日は皆さんに、相談とお願いがあり、この動画を撮っています。』


「日本語しゃべるの?」


 母の質問に友美がうなずいて答える。まるでどこかの首相か大統領の演説のように続けるヨロイ。


『日本政府に再三の忠告をしてきましたが受け入れられず、我々とのやり取りも国民に秘密で、非常に困っています。経済大国と言われるような国々に同じメッセージを送り続けましたが、どれもいい答えが帰ってくる事はありませんでした。なのでこちらに動画を送らせていただきました。先日の攻撃は驚かれたと思いますが、我々の要求が通らないとなれば、再度攻撃せざるを得ないと考えます。』


「いやー、フェイクだろ」


 父が目を細めた。睨んで黙らせる友美。ツバを飲む父。


『そこで国民のみなさんに直接問いたいと思います。我々の要求は、全ての核兵器と原子炉の廃絶、全ての武器の廃棄、汚染物質の海洋流出の禁止、ガソリンや天然ガスなどの地球資源の使用禁止、自然破壊の禁止であります。この要求を飲むのか、飲まないのか、決めてほしいのです。人間は調子に乗りすぎました。ここ二百年で地球はめちゃくちゃです。全て人間の責任です。人間はもっとシンプルに生きるべきです。地球は人間のものではありません。今こそ国民が団結して政府に訴える時です。そして地球を元の美しい星に戻しましょう。この要求が通らなければ、人類は終わるでしょう。まだ期限は決めませんが、何らかの動きがなければ、近く地球奪還戦争が始まるでしょう。我々は必ず地球を守ります』

読んで頂きありがとうございます

次回もよろしくお願いします。

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