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第226話 ガーディアンたちの猛攻を切り抜けろ!

「なんじゃこりゃあ!」


 槍や大剣をもったガーディアンたちが殺到してくる。


 重たい金属音を鳴らしながら駆け寄り、ひと振りで俺たちを押しつぶそうとしてくる。


「びびってる場合じゃないだろっ。さっさと倒さねぇと、俺たちがぶっ殺されるぞ!」


 ルーベンが槍をかまえて、襲いかかってきたガーディアンの剣を受け止める。


 ウバルドは力で勝てないと判断したのか、背中を向けているな。


「うろたえるな! この者たちは力こそ強いが、攻撃は単調だっ。お前たちの敵ではない!」


 ガーディアンの攻撃をかわしてポールアクスで反撃する。


 地面すれすれで斬り払った刃がガーディアンの両足を切断した。


「そんなこと言ったって……」

「簡単に言うな!」


 ふたりとも、初めて戦うガーディアンたちに臆しているか。


 ガーディアンたちはわれ先にと俺たちに近づき、剛腕をふるってくる。


 その怪力は脅威だが、仲間と歩調を合わせるという考え方が彼らにはない。


「連携のとれていない単調な攻撃では、俺たちを追い出すことはできんぞ!」


 彼らの攻撃をかわし、左足で彼らの胸を蹴り飛ばす。


 倒れたところで渾身の一撃を浴びせれば、彼らを倒すことは充分に可能だ。


「くそっ、俺だって……」


 ルーベンが槍を投げ捨て、攻撃をかいくぐってガーディアンと正面から抱きついた。


「ぐおっ、冷てっ!」


 ルーベンが左手でガーディアンの首をもち、右手を股の下まで伸ばして……何をする気だ!


「うおおりゃぁ!」


 怪力でガーディアンの巨体をもちあげるのか!


 ルーベンは雄たけびのような声を発しながらガーディアンをもちあげ、そのまま背負うように彼を投げ捨てた。


 地面に横臥する彼の頭を槍の石突きで突き刺し、ガーディアンを打ち倒した。


「うわっ、こっち来るな!」


 ウバルドは、だいぶ苦戦しているか。


 じりじりと後退しながら長剣の切っ先をふりまわし、ガーディアンを近づけないようにしている。


 腰が引けて、ガーディアンたちとまともに戦える状態ではなさそうだ。


「ウバルド、よけろ!」


 地面をけり、ガーディアンたちの背後からポールアクスをふり下ろす。


 衝撃波が生まれ、津波のような激流がガーディアンたちの無防備な背中を吹き飛ばす。


「うわぁ!」


 ウバルドも、よけられなかったか。


 いや、寸でのところで衝撃波の直撃を回避できたか。


「お、おいっ、グラートっ。いきなり、なにすんだ!」


 ウバルドは近くの柱に飛びついていた。


「お前をたすけるために加勢したのだ。多少の乱暴はゆるしてほしい」

「お前の一撃は殺人級なんだぞっ。やるならやるって、先に言え!」


 奇襲する前に攻撃を宣言したら、効果がだいぶ薄れてしまうと思うが……。


「がははっ。ウバル、お前、サルみてぇ!」


 ガーディアンたちを蹴散らしたルーベンも集まって、ウバルドを指さした。


「前にキメラと戦ったときも、ウバルは木登りしてたよなっ。もしかして木登り的な遊びが好きなのか!?」

「んなわけないだろ! 俺はお前らみたいに怪力じゃないんだぞぉっ」


 ウバルドが柱の上部で赫怒すると、ルーベンはこらえ切れずに笑い転げた。


「お前たち、遊んでいる場合ではないぞ。ここを早く越えなければ、ガーディアンたちと延々と戦わされる羽目になる」


 遺跡はとても広い。


 プルチアの遺跡もひとつの都市のように広かったが、ここもあの遺跡のように広い。


「青の結晶というのは、洞窟の中にあるんだよな。だったら、この遺跡の地上にはないんじゃないか?」


 ウバルドが柱から降りてあたりを見まわす。


「そうだな。しかし、見たところ洞窟らしきものはどこにも見あたらない」

「青の結晶は、ここにはないのか?」


 いや、そんなことはない。オウル村で得た情報に従えば、青の結晶はここにあるはずだ。


「じゃあ、ここのどこかに青のなんとかがある洞窟の入り口があんのか?」


 ルーベンは背中についた雪と泥を落としていた。


「そう考えるのが妥当だろう。プルチアの遺跡には、地下へとつながる階段があった」

「地下か。じゃあ、そいつをまずは探してみっか」


 この遺跡はプルチアの遺跡と同様、石だたみで舗装された地面の上に都市が建設されていたようだ。


 壁や柱も巨大な石でつくられ、どのくらいの月日が経過しても崩壊しないつくりになっているようだ。


 ガーディアンたちは石壁や柱のそばに設置され、近づいた者を問答無用で攻撃するように命令されている。


 彼らは強靭な肉体と怪力で侵入者たちを襲うが、知能は獣と同程度。単調な攻撃しか仕掛けてこない。


「ガーディアンどもは何体いやがるんだよ。何回倒しても、きりがねぇ!」


 ルーベンが近づいてきたガーディアンを蹴り倒す。


 他のガーディアンの腕をつかみ、背負い投げで軽々と撃退してみせる。


「グラートの言う通りだな。だらだら探してると、こいつらと何度も戦わされる羽目になるぞ」


 ウバルドも風の魔法を駆使して、戦場をうまく立ちまわれるようになった。


 ガーディアンの撃破こそできないが、彼らを寄せつけないように戦い方を工夫できるのはさすがだ。


「地下へと続く階段を探しているが、見つからないな。この遺跡にはないのだろうか」


 かつて住居であったと思われる石壁の裏側へと入り込み、その周辺を調べてみる。


 テーブルや生活の痕跡は見つけられるが、地下の階段は存在しない。


「そうすっと、洞窟はこの遺跡の向こう側にあんのかな」

「そうかもしれんが、ガーディアンたちの猛攻をかいくぐるのは至難だぞ」

「でも、行くしかねぇだろ」


 青の結晶がねむる洞窟は、この遺跡を越えた先にあるのか?


 何か重大な手がかりを見落としているような気がする。


 フィルラ族の村で、どのような情報を提供してもらったのか。


 オウル村の長老は、俺たちに何を教えてくれたか。


「ここで考えていても埒が明かない。行きたくないが、先に進むか」


 ウバルドがそっと嘆息し、重たい足で雪の積もる地面をふみしめた。


 陽が西にかたむきはじめた。


 夜に捜索するのは危険だ。夜にガーディアンたちに襲われたら、ただでは済まされないだろう。


「遺跡さえ見つかれば、あとは簡単にゴールできると思ってたのによぉ。こっから先も長そうだなぁ」

「陽が暮れたら捜索どころじゃないだろ。遺跡の外まで出ないと寝られないぞ」

「うげぇ。そうだなぁ」


 青の洞窟は、どこにある!?


 遺跡のいたるところに設置されているガーディアンたちは、縄張りへの侵入を検知すると即座に襲いかかってくる。


 彼らを駆逐しながら長い回廊を越えると、集会場のような、だだっ広い場所につながっていた。


「ここは、なんだ? この遺跡で生活していた者たちが集まる広場か?」

「闘技場みたいな感じにも見えるけどなぁ」


 ルーべンが言う通り、広場は円を描くような外壁によって仕切られている。


 預言士たちは、ここで戦ったのか?


 広場のあちこちには、ガーディアンと思わしき者たちが無数に設置されているぞ。


「おい、あれ……」

「この先に、進まないといけないのか……?」


 黒い柱と化していたガーディアンたちが、すかさず動き出す。


 四肢を生やして殺到してくる彼らは……何体いる!?


「おいっ、グラート……!」

「くるぞっ!」


 先頭のガーディアンが繰り出した攻撃をポールアクスで受け止める。


「広場の入り口まで戻るのだっ。広い場所で彼らに囲まれたら、俺たちに勝ち目はない!」


 パライアやプルチアの遺跡とおなじだ。この者たちは、いくら退けてもどこかからあらわれて、俺たちを追い出そうと攻撃してくる。


 この広場の奥に進めば、エルブス山の中へとつながっているかもしれない。


 この先に進まなければならないというのに……。


「グっ、グラート!」


 俺の後ろにいるウバルドの悲鳴が聞こえた。


「どうした!?」

「うっ、後ろからもっ、やつらが来るっ」


 なんだと!?


 前方のガーディアンたちに反撃した隙に背後を見やる。


 左右の石壁で仕切られた細い回廊に立つガーディアンたちの黒光りした姿が、無情にも俺の視界に入ってきた。


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