星の降る夜に
その日、この世界に星が雨のように降り注いだ
私達は
そして、 誓ったんだ
僕達は
「きっと、次に巡り会うときには」
「必ず結ばれよう、」
そして………
幾星霜の夜を越え、八つの星を越えた僕は、君とのあの約束を果たしにきたんだ。
この、広い宇宙の果てで!
でも、君は覚えてなどいなかった。何度繰り返しても、何度巡り会っても…
僕は何度も絶望した。君が何度も僕の前から消えてしまうことに、
手が届く距離なのに君を救い出すことも出来ないことに
「私は一体誰?何のために生きてるの?」そんな言葉が心の奥でこだまする。
それは、私の中の黒い私が私に対して囁く言葉
一体幾つの年月を過ごしただろうか……私はあの約束を果たしにきたのに彼は覚えてなどいなかった。
手を伸ばせば届きそうで、でも、その勇気が出ない。
そのまま私は彼が他の人と幸せになってしまうのを、ただ見守るだけの村人A。
やっぱり、「私には彼の側にいる資格なんてないのかも知れない」
そう、何度も考え、何度も身を投げる
いくら考えても、僕は知らない(気付かない)。
いくら繰り返しても、私は分からない(思い出せない)。
たった一言。その言葉でお互いに救われるというのに。
その言葉を伝える勇気が出ない。
幾星霜、繰り返したことだろうか
この、寂しいと感じた時を
しかし、それも今日で終わることだろう
ようやく、この永い永い出逢いと別れを繰り返した時を経て手に入れた、
この手に掴んだ幸せを感じることができるのだから。
私達は思い出せたんだ!何度も何度も繰り返し、絶望をしてきたけれど、積み重なった思いは、祈りは、記憶は…ふとした拍子に閉ざされていた扉をこじ開けて二人に隠されていた全てを魅せる
あの日のように、星の降る夜に僕達は誓ったんだ。いつか巡り会えたならきっと
「二人だけの結婚式を今日のような星の降る夜に挙げよう」って
二人は結ばれるはずのない運命であった。
既に婚約者のいた少女と少年の二人は逢瀬を重ね、更に深く恋に落ちた。
しかし、周囲はそれをよしとしなかった。それどころか、二人を"愚か者"と称し、哀れみ、二人の間を引き裂いた。
少女は声を奪われ、少年は瞳を奪われた。もう2度と彼と声を交えることなどないように、もう彼女のことを見つめることなどないように…
しかし、二人は諦めなかった。ある日、二人は家を抜け出し、引き裂かれる前に交わした約束を果たしに行った。
そこは、二人にとって馴染み深く、逢瀬を重ねた静かな丘であった。
二人はどれだけ離れていても忘れることの無い物があった。もう、五感などなくともなくとも行くことのできるくらいに逢っていた場所。
再び逢うことのできた二人は喜びに満ち、強く抱きしめた。
彼女は「あー、あー」と老人の様な声を出しながら喜び、彼は何も無い瞳から涙を流した。
その日、丘には星が降り注いだ。彼には視ることができなくても、その美しさは分かる。隣に彼女が居れば何でも美しから、瞳など必要無かった。
彼女には声を交わすことなどできなくても、彼との思いが繋がりとなっていた。だから、もう言葉なんて必要など無かった。
そして二人は交わした。失われた少女の声と少年の紅い瞳を代償に、いつの日か、神が二人を結んでくれるように祈り、もがくことを。少女の枯れた声と少年の深海のように落ち着いた声で。
そして二人はその日の夜に一生を遂げた。
それが、全ての事の始まり、悲しい物語。
この二人の祈りは、願いは一生消えることのない記憶となり、
幾つもの人生を繰り返した二人は姿を消した。
誰も、彼等のその後を知るものはない。
終
周りによく分からないと言われた小説の供養です