第21話 天使ちゃんと白い部屋(回想)
聖女である立花ホノカの回想です。
「第4話 目覚め」から異世界に転生しリールと出会うまでのお話になります。
『あなたは死にました』
目が覚めると目前には女の子がいた。
金髪で美しい顔立ち。
日本人には見えないけど欧米人にも見えない。
強いて言うならコスプレ?頭の上にはドーナツ型の蛍光灯?
まさか天使の輪っか??
私もそういう格好してみたかったな。
立花ホノカは思った。
そんな事より・・・・・・。
私は死んだんだ。
記憶が全くない。
何かに襲われたような。
だめ。
思い出せない。
・・・・・・え?私、誰だっけ?
思い出せるのは自分の名前だけ・・・・・・。
不安が襲ってくる。
『あなたは死にました』
天使ちゃんはもう一度言った。
あなたは?
『導く者』
無表情だが優しい声。
『立花ホノカ。あなたは死にました。黒の魔人から殺された。理由は一つ』
導く者は言った。
二言以上話せるらしい。
黒の魔人?
『人でも獣でもないもの。あなたの世界にはいない者。あなたが死んだのは間違い』
間違いなら帰して!
『それはできない。あなたの世界の秩序、乱れる。だから立花ホノカ、異世界に転生する』
転生?
『あなたの才能、ずっとずっと開花させる。転生してやり直し』
才能?やり直し?全然わからない!どうにかなりそう!
『心配いらない。あなたは聖女。生まれながらに尊い。稀有な存在。世界を繋ぐもの』
聖女?それは何?私はどうすればいいわけ?
殆ど泣き出しそうになる私。
混乱と恐ろしさ。
聖女?取柄もない私が?
『話しても理解されない。だけれどあの世界。いま未曾有の脅威に晒されている。聖女が必要』
どうして私は殺されたの?
『それは、立花ホノカ。強すぎるから。開花したら誰も近づけない』
開花したら、そのだれも近づけない存在になるってこと?
聞いていると苛立ってきた。
分かったわ!その転生した異世界で暴れまわってやる!そうすればその黒の魔人に辿り着けるってことよね?聖女(?)の力を行使するわ!
『そうとも言える。でも、暴れまわる。それ迷惑』
知ったこっちゃないわ!!突然殺しといて、その理由が強すぎるからー、とか納得いくかっつうの!!記憶もないし。あったま来たわ!!皆殺しよ!!!
『だめ。ホノカ。聖女。弱きものを癒やす存在』
だ、か、ら、そんなの知らないって!!だめならそうね・・・・・・強くて悪い奴をやっつけてやる!!!そうだわ!早く転生させて頂戴!
『転生させる。だけどここでの記憶、すべて忘れる』
はぁ?何でなのよ!?それじゃあ自分が聖女で、強いってことも忘れてしまうってわけ?
『そうなる。こればかりはしょうがないこと。脳に障害が生じない最善策。それと、転生のついでに・・・・・・』
ついでに?
『少し、性格柔らかくしておく』
え?ま、まあそれは別にいいわ。
『一つだけ、ヒント』
助言したいっていうの?
『ホノカ、あなたは美しい。だからもう少し優しくした方がいい。これ処世術』
うっさいわね!!!
ホノカは天使ちゃんの頭を叩いた。
パリンっ
『あ』
あ!!
『ああーーー!』
頭上の輪っかが割れた。
ごめんやりすぎたわ・・・・・・。
『もう知らない。さっさと行け』
そんな怒んないでよ~。スペアとかあんでしょ?
『あるわけない。これ最後の一個だったのに』
割ったことあるんだ・・・・・・。
『まあいい。これから異世界に送る。アルガリア公国の領土。比較的安全地帯。』
教えてくれても忘れちゃってんだよね。せっかく知り合いになれたのに、もうお別れか。ちょっと寂しいね。
『全然』
うおりゃー!
『ゴフっ!』
『行ってしまえ(怒)』
ホノカは白い光に包まれる。
聖女として、未知なる世界へ転生を始める。
『・・・・・・また、すぐに会える』
ホノカを転生させた天使ちゃんはため息をついた。
『ホノカ。面白いこ』
天使ちゃんは遠い日を思っていた。
ホノカと同じ黒の魔人に殺された、魔族の少年の事を。
名前はたしか、ガル・・・・・・。
『ホノカ。黒の魔人を殺して。私たちを救って』
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作者 手塚ブラボー より




