第15話 大蛇と毒の霧
リールが補助に徹し、ホノカは回復、そしてサガンはひたすら攻撃。
単純な戦法だが、三人の能力は依然と比べ飛躍的に向上していた。
それに加え連携も取れている。
木陰に身を潜め、三人の戦闘を見守るリリアスは感心していた。
ヨルムンガンドに遭遇して、サガンは風のように素早く一撃目を入れた。
矛先はそのゴツゴツと大きな頭の骨をえぐり、出血させる。
その瞬間、ヨルムンガンドは大きく口を開いた。
「引け!!!!」
三人は距離をとる。
大木を丸呑みするかのように異常なほど開かれた口には、細く長い牙が二本、その先から毒の霧が発生した。
「その霧を吸えば最後、吸ってはなりません!」
サガンは掌に魔力を集め強風を巻き起こした。
「なんとサガン殿!風魔法を習得しましたか!」
「じいちゃん!霧が晴れていくよ!」
風を纏ったサガンはヨルムンガンドの左目を突き破った。
「ギュオオオオオォォォォォ!!!!」
雄たけびをあげたその長い巨体はバネのようにのたうち回り、木々を払っていく。
サガンの左半身に衝撃が走る。
大蛇に対してあまりに軽い体は吹き飛ばされた。
「グ・・・・・・!」
俺の体は大木にぶつかって止まる。
「ヒーリング!」
ホノカの回復魔法でサガンの傷はたちどころに癒えた。
「わいも負けてへんで!スピード!!」
リールは自身にバフをかけた。
「へび公! あんさんの3倍動いたるで!」
素早い動きで俺にブーストを何度もかけた。
「まだまだや! 最高の一撃をプレゼントしたるで!!!」
俺は飛び上がり、槍を大きく後ろに引く。
体が弓のように屈曲して引き締まる。
反動を最大限に活かし、ヨルムンガンドの額を目掛け、全力で槍を放った。
「貫けェェェェェェェ!!!」
俺の槍は大蛇の額に深く刺さった。
「まだ足りなかったか・・・・・・!」
その時、大蛇は更に体をひねって暴れまわった。
長い尾がサガンとリールの二人を同時に払い飛ばし、ホノカに向かって牙を剥いた!
「危ない!!!」
間一髪で躱したホノカは回復魔法を二人に放った。
「今はその時ではない!!」
ホノカが気づいた時にはもう遅かった。
高く宙に飛ばされたホノカの体、折れたロッド、倒れた俺とリール。
放ったばかりの回復魔法は彼方へ消えていた。
私このまま地面に落ちればどうなるのだろう。
薄れていく意識の片隅で思ったのは遠い記憶。
お母さん、お父さん、ミキ・・・・・・。
あなたは誰?
『名前はまだ無いんだよ。そうだな、ビッグバードにしよう。』
ビッグバード・・・・・・。
地面に打ち付けられたホノカは意識を失った。
「・・・・・・なんや・・・・・・わいら強うなったんやないんか・・・・・・ゴホっ」
「ホノ・・・・・・カ・・・・・・待ってろ。今行く・・・・・・。」
俺たち二人は重たい体を引きずり大蛇に立ち向かう。
「もう勝機はありません! 立ち向かわず逃げるのです!!!」
リリアスさんがそう叫んだ瞬間、強力な魔力の発生にその場の全員が振り向いた。
「消えちゃえ------!!!!」
タオが泣き叫んだ。
そのとき大蛇は長く白い巨体を丸め、とぐろを巻いた。
そして一瞬にして音もなく煙になって消えてしまった。
タオの召喚魔法が解放されたのだった。
「最後の最後に、やりおったで・・・・・・。」
「ちっ、逃がしたか・・・・・・。」
「強がり、言うてはんな・・・・・・。」
安心しきった俺たち二人は意識を失い倒れていた。
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作者 手塚ブラボー より




