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第6話『抹茶フォンダンショコラ』②

お待たせ致しましたー

 まだ半分夢だと思うが、真穂(まほ)は予想以上の結果になったので『(さかき)さん』の姿に人化していくと、海峰斗(みほと)は目をキラキラさせてくれた。



「そんな凄いことに見える?」



 真穂には、海峰斗と再会した時の姿になっただけなのに……海峰斗は宝物を見つけた時のように目を輝かせる。それがいくらか気恥ずかしかったが、海峰斗は首を縦に強く振った。



「凄いよ!! 魔法みたいだし、俺……実はちょっとだけオタクだからさ? 漫画とかアニメのヘアスタイルとかも……自分では出来ないのはわかってても興味はあるし」

「あら?」



 なら、大須(おおす)で今もアルバイトをしている吸血鬼のジェイクとは気が合うかもしれない。だが、今はそう言う話をしたいわけではなかった。



「えっと……その。そっちの姿でも『真穂ちゃん』って呼んでいい?」

「律儀ねぇ? 真穂の彼氏になったんだから遠慮なんていらないのに」

「ん〜〜……だって、まだ半信半疑な部分が多いし」

「ふふ。ねぇ? いつから、真穂が十七年前の『まほ』だって気づいたの??」



 人間にとっては結構な年月が経っているのに……海峰斗は自信を持って真穂が『まほ』だと見抜いていた発言をしていた。


 そして、さらに『初恋の女の子』とも嬉しい言葉をくれたが。



「いつ? うーん……(さかえ)で見かけた時だから、カットモデルの勧誘の時?」

「あんな時から!?」

「そりゃ大人っぽくなってるし、綺麗になっているし……声かけにくいかなーって思ったけど。髪質は相変わらず綺麗だったから……モデルにもなってもらいたかった」

「……欲張りね?」

「真穂ちゃんに、だからだよ? 俺の……ずっと憧れてた女の子だったんだから」



 直接的に言われると照れてしまうものだが……海峰斗と居られるのであれば、真穂もそれを受け入れる。


 しかし、まだ真穂は海峰斗にいくつか告げていないことがあった。



「ミホ? 話したい事は、まだあるの」

「? 何?」



 海峰斗は少し冷めたコーヒーを美味しそうに飲んでいた。



「ミホの妹……美兎(みう)に真穂は守護に憑いているわ」

「守護? って??」

「守護妖怪と思ってくれて良いわ。あの子がこの界隈に来るようになってからの……守護を務めているの」

「え、あいつもここに!?」

「さらに言うと……昨日だけど真穂達のようにあやかしと交際し出したわよ??」

「はぁ〜〜〜〜!?」



 これにはびっくりしてコーヒーを気管に入れてしまったようで、何度か咳き込んだ。



「ふふふ? 安心して? とってもとっても信頼出来るあやかしが相手だから」

「……けほ。真穂ちゃんがそう言うなら信じるけど」



 けど、美兎が、などと独り言を言っている辺り、美兎の元彼の時などを心配しているのかもしれない。そこは火坑(かきょう)も知っているし、絶対美兎を傷つけないことを教えれば、海峰斗は大きく息を吐いた。



「冷めちゃうから、季伯(きはく)のフォンダンショコラも食べましょ?」

「……そうだね?」



 冷めていたと思ったが、フォークでケーキを割るとまだ温かいのか湯気が立ち上ってきた。それぞれひと口食べると、すぐに顔がほころんでコーヒーをひと口。


 甘いものを食べた後のこの至福の時間が堪らないと思えるのだ。



「さすが、季伯」

「思ったより苦くない。のに、抹茶の風味はちゃんとある!? 俺、これは好きだ!!」

「あら、抹茶苦手だった??」

「チョコなら良いけど、ケーキとかはちょっと」



 食の好みをちょっとだけ知れて、真穂は少し嬉しかった。人間なのだから、好みの良し悪しはあって当然。真穂も実はあるのだが今は言わない。


 それと……またもうひとつ。彼には伝えねばいけないことがあった。



「ミホ。真穂が昔あんた達に近づいた理由なんだけど」

「うん?」



 真穂は考え込んでいる最中に、海峰斗は美味しそうにフォンダンショコラを食べ進めていた。



「ミホと美兎にも……あやかし、妖怪の血が流れているのよ」

「お、俺達に??」

「あやかしの種族は、おそらく……(さとり)。かなり血は薄いけど、あんた達にはそのあやかしの子孫なの」

「……えぇ!?」



 心の表層意識を読み、相手を惑わすなどと語り継がれているあやかし。


 何故、その種族が人間の中に自分達の血を残したのか……あの頃の真穂は気になったのだ。


 さらにその後。恋人同士になってもすぐにセックスが出来ない理由を告げると……海峰斗は年頃の男らしく、首を垂れたのである。

次回は金曜日〜

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