第2話 猫人の家②
お待たせ致しましたー
いつも通り過ぎて、火坑がここに連れて来た意味がわからなくなってきた。ぬらりひょんの間半の言葉で、美兎の気持ちもバレたはずなのに、何も聞いてこないのだ。
美兎に紅茶を淹れてから、温まったこたつでじんわりと足や体を温めていく。だが、美兎は冷や汗をかくように、背筋が寒く感じた。
「……都合の良い解釈と、思っていいんでしょうか」
火坑がやっと話を切り出したので、美兎はハッとして顔を上げた。猫人の顔は、相変わらず困ったような表情だったが。
「え……っと」
「いえ、すみません。不躾過ぎましたね? その……正直言って、嬉しくて」
「……え?」
「嬉しいんですよ、美兎さん。僕は…………あなたに惹かれているんです」
そんなことはない、嘘だ。
と、何回も何回も頭の中でぐるぐると巡っていた思考が……だんだんと落ち着いて行く。火坑の表情もだんだんと困った感じから笑顔に変わっていくのに……良いのか、と美兎も嬉しいと感じていく。
「……いいん、ですか?」
やっと紡ぎ出せた言葉は、酷く震えていた だが、伝えたいと言う欲が出て、美兎は火坑の顔を見続けた。
「私も……つ、ごうのいい……解釈をしていいんですか?」
「もちろん」
火坑はそう言うと、体が光っていく。なんだ、と思っていたら人間の姿……紅葉狩り以来の『香取響也』の姿になったのだ。わずか10センチもない美兎との距離を、彼は一気に縮めて……美兎の肩に手を回してから胸に抱き込んだのだ。
「か、火坑、さん!?」
「正直に言います。僕は……湖沼美兎さん。あなたのことが好きです」
「!?」
熱いため息。
熱い想い。
それらを口にしてくれた火坑の手は、人間の手になっていたから震えていたのがよく分かった。いつもなら、料理でもアドバイスでも自信が強いあやかしでいるのに……ただの人間でしかない美兎には、自信がないように思えたのだ。美兎もほとんど口にしたようなものなのに、それでも確かな証が欲しいと体の震えで伝えてくれる。
美兎は自分にちっぽけなプライドだなんてどうでもよかった、と思えてきた。
「……私、も」
だから、彼のためにも伝えようと思えた。
「……私も、火坑さんが好きです! あやかしでも猫でも関係ないくらいに!!」
抱きしめられた胸から顔を上げて、火坑の顔を見てから答えた。紅葉狩りの時もだが、素晴らし過ぎるイケメンとの距離が近いのに、鼓動が高鳴ってしまうが我慢した。美兎は自分の正直な想いを伝えて、火坑の想いにも応えたかったから。
そして、美兎がきちんと告げた直後。火坑は泣きそうな笑顔になって……美兎の頬に手を添えてきた。その意味がわからないわけがない美兎は、受け入れるためにそっと目を閉じる。
すぐに、唇に触れた感触に……ああ、これが出来るのは人間の姿の方が良いのか、と少しくすぐったい気持ちになりながら……火坑からの口付けを受け入れたのだ。
次回は水曜日〜




