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第5話 界隈イルミネーション②

お待たせ致しましたー

 火傷しそうなくらいに、大きな炎の塊。


 ステージに広がって機材に燃え移ることもなく……ただただ中央に集まった状態でいた。そして、だんだんと炎がしぼんでいき、現れたのはついさっき、ぬらりひょんだと名乗ってくれた真鍋ではなく、間半(まなか)。服装も黒の紋付袴ではなく、炎の模様が美しい赤い衣装だった。夏に、(さかえ)久屋(ひさや)大通りをメインに行われる、名古屋でも一大イベントでも着られるような、衣装。


 地下(じか)足袋で格好良く、間半のロマンスグレーの美貌をさらに引き立てているような。思わず拍手しても、先にあやかし達の歓声や喝采にかき消されていく。



「さあ! 今宵は宴。存分に盛り上がろう!!」



 間半がそう叫ぶと、彼の後ろから小さな炎の塊がいくつも出現して、間半の横に降り立つと座敷童子の真穂(まほ)と同じサイズの子供の姿に変化していった。服装は間半のと似ているが、子供らしく可愛く見えた。


 そして、間半らは扇子と炎。それらを扱いながら、踊っていく。間半は年齢を知らないが、あやかしの主であるからか、機敏に動き、キレのあるダンスと術を披露してくれた。



(カッコいい!!?)



 広告代理店に勤めているので、イベント関連の広告やプロモーションなどの撮影の手伝い程度は、新人としてしているけれど。今年は就職したての年だからか、界隈に行く以外はあまりイベント事に参加しなかった。


 だから今、そのイベントの観客側にいる今がまるで夢のようで。


 間半と子供の姿をしている演舞に、思わず見惚れてしまっていた。炎は観客席まで飛んでくるが、本物の炎ではないからか火傷することもなく、むしろ冬にはありがたい暖かさだ。美兎の方まで、子供のあやかしがシャボン玉みたいに飛ばした炎が来ても、受け止めたら暖かさが伝わってすぐに弾けとんだ。



(凄い……凄い!!)



 仕事馬鹿な美兎は、この感動を仕事にでも活かしたいと思った。もっと鮮明で、もっと活力のある広告に活かせる事が出来れば……と。そんな想像力を掻き立てるくらいに、美兎の気力は満ちあふれていた。


 だが、まだ一年目の自分に出来る事は限られている。二年、三年とまだ先があるのだから……そのためにも、今出来ることをしたい。


 その決意を、胸に美兎は今は楽しもうとステージを見ることにした。



「そぉれ!!」



 子供のあやかし達が、空中でバック転を披露すると、あちこちに虹色の炎で出来た滝が出現した。


 それをバックにして、間半達は踊っていく。その光景が、とてもカッコよくて美しかった。



「綺麗……!」

「なかなかやるじゃない?」



 と言いつつも、真穂も拍手の手が強かった。火坑(かきょう)の方に振り返ると、同じように手を叩いていた。



「総大将の演舞をお目にかかるのも久しぶりですね?」



 普段。


 この猫人は、自分の店で料理している以外は何をしているのか。美兎はまったく知らない。


 知らないからこそ、知りたい。知りたくて堪らないのだ。想いを寄せているからこそ、余計に。


 すると、持っていたビジネス鞄からカタカタと音が聞こえてきたのだ。



「……え?」



 慌てて、仕事の通知か何かスマホできたのかと鞄を開けたところ。


 入れっぱなしにしていた、サンタクロースからもらった小さなプレゼントが白く光って、カタカタと揺れていたのだ。

次回は月曜日〜

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