表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/204

第3話 ブラックサンタクロース

お待たせ致しましたー

 聞いたことのない名前だ。


 サンタクロースには似ているが、昨夜(さかえ)の上空をソリで駆けていたあの老人とはだいぶ違う。老人と言うよりは中年より少し上くらい。背筋もピンとしているし、顔つきもかっこいい男性でしかない。


 何より服装が違っていた。名前の通りに、黒い色の服を着ているサンタクロースだなんているだろうか。


 ブラックサンタクロースと呼んだ、座敷童子の真穂(まほ)は子供サイズから美女に変身してから、美兎(みう)を彼から奪い取るように抱きついた。



「何よ、何? わざわざ日本に来てまで仕事しに来たわけ??」

「そう邪見にしないでくれないか? あいつとは別に、こちらのお嬢さんの手助けをしようとしてただけだ」

「手助け……ですか?」

「ああ、そうとも。改めて、僕はブラックサンタクロースと言う」

「サンタ……さん、ですか?」

「君ら人間が認識している彼とは違うね? 僕は……悪を懲らしめる存在だ」

「サンタさんなのに?」

「美兎、ナマハゲ知ってる?」



 サンタの話をしていたのに、真穂がいきなり物騒な話題を振ってきた。知っているつもりではあるが、にわかな知識でしか知らない。頷くと、真穂はケラケラと笑い出した。



「?」

「ナマハゲとも違うけど。こいつは、御大(おんたい)との対なのよ? 良い子にプレゼントを贈るのが通常のサンタクロースなら……こっちのサンタは悪い子供なんかを懲らしめる存在。世界各国に、似た伝承が多いとされてるわ」

「はは。そんな大した奴ではないがね? とりあえず、診療所に行こうか?」

「あんたが抱えるの?」

「それくらい、お安い御用さ?」



 と言って、美兎をひょいと抱えた途端。


 前方で、ドサっと何かを落としたような音が聞こえてきた。


 なんだろうと、全員で振り返れば……口をぽかんと開けた猫人の火坑(かきょう)が大きな買い物袋を落としていたのだ。



「美兎……さん」



 久しぶりに会う火坑の表情は、人間の顔ではないのにどこか青ざめているようにも見えた。どうしたのだろうと思っていると、ブラックサンタクロースが何故か美兎を地面にゆっくりと降ろした。



「おやおや、騎士(ナイト)は既に居たようだね?」



 ブラックサンタクロースの言っている意味がわからず、首を傾げていると……火坑から息を呑む音が聞こえてきた気がして、また美兎は振り返った。火坑は咳払いをしてから、落とした買い物袋を拾っていた。



「どうも……こんにちは」



 彼が軽く会釈をしてから、こちらにやって来る。その表情は少し怒っているようにも見えた。何故か、は美兎にはよくわからない。



「こ、こんにちは……火坑さん」



 けど、挨拶しないわけにはいかないので、美兎は挨拶した。すると、火坑は水色の瞳をゆるく細めてくれた。



「こんにちは。……何故、ブラックさんと界隈に?」

「意味深な聞き方をするんじゃないよ? このお嬢さんは街中で倒れかけたんだ。僕の仕事前に、診療所に行こうと連れていくとこだったんだよ?」

「!? どこかお加減が!?」

「だ、大丈夫です!! ブラックサンタクロースさんのお陰で、今は平気ですし」



 嘘じゃない。


 あの元彼とすれ違った直後の時のような。過呼吸みたいな症状はもうない。皆にもそれを伝えたが、火坑は一度首を左右に振った。



「ですが、人間の身体は我々あやかしとは違って脆いです。すぐに、水藻(みずも)さんのところへ行きましょう」



 と言って、火坑が美兎の手を掴んで来たので……思わず叫びそうになったのを堪えたが。後ろにいた真穂やブラックサンタクロースには声を押し殺すように笑われてしまったのだ。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ