第3話『紅葉狩り弁当』
お待たせ致しましたー
真穂にからかわれたが、それからは美兎も紅葉を眺めて楽しむことにした。
紅葉の赤、銀杏の映える黄色。それぞれがスマホで何度写真を撮っても、ちっとも飽きないのだ。普段はパソコンなどに向き合ってばかりだから、このような美しい景色なども写真でしか見ていない。
ある程度、沓木達も交えて写真を撮るに撮っているうちに、時刻は正午過ぎを迎えたので……火坑の手製の弁当と隆輝のデザートで昼ご飯を食べることにした。
敷き物については、真穂がわざわざ用意してくれたのだが。
「真っ赤!?」
「家にあったのがこれしかなかったのよ?」
美兎が驚くくらいに、その敷き物は紅葉に負けないくらいに赤みが強くて、シミひとつなかった。座っていいのか、少し悩むほどに美しい。
けれど、真穂がさっさと座りなよ、と言ってくれたので美兎達はゆっくりと靴を脱いでから足を踏み入れたのだが。
「うわぁ……」
足を乗せると少しふんわりとしていて、だけど気持ちのいい感触だった。両足で乗ると少し沈んだような感じになるが、決して不快には感じない。
全員が乗ってから自然と中央に集まり、火坑達が弁当などを広げてくれた。
「おお!?」
「豪華!?」
火坑は手掛けてくれた弁当の中身は。
豆鯵の南蛮漬け。
だし巻き卵。
ひと口サイズの竜田揚げ。
ほうれん草の胡麻和え。
品数としては多くないが、それぞれ五人で食べるにはちょうど良い量が詰め込まれている。野菜は少ないようにも見えるが、南蛮漬けに根菜類がたっぷり使われているので大丈夫だと美兎は思ったが。
「お弁当を作るのが久しぶりですので、大したものではありませんが」
「充分です!」
「隆くんも結構食べるし、充分ですよ?」
「真穂も食べる食べるぅ!!」
お腹が悲鳴を上げる前に、と全員で手を合わせた。
『いただきます!!』
何を食べようか。野菜からが良いと、テレビだったりSNSで見聞きしたような気もするが……せっかくの火坑の料理なので、食べたいものから食べようと南蛮漬けに箸を伸ばした。
「ん!?」
冷めているのに、玉ねぎやにんじんの細切りがシャキシャキとしていて歯で噛むととても心地よい。メインの豆鯵は丸ごと揚げられているが、肝のほろ苦さと骨の柔らかさが絶妙だ。噛めば噛むほど旨味が口の中に広がっていく。
飲み込んで、食道を通っていく感覚もえも言えないくらいだ。
「美味し!」
「さっすが、きょーくん。卵焼きも冷めても美味しいよ!」
「……お粗末様です」
「ほんと、相変わらず良い腕してるじゃない?」
皆思い思いに弁当を堪能していくので、美兎は次にひと口サイズの竜田揚げを口に入れた。そちらも冷めているのに、味付けは濃く、肉汁もまだ健在で……噛めばじゅわーっと肉の間から溢れ出てくる。
ひとつ、またひとつと弁当を堪能していると、五人なのであっと言う間に食べ終えてしまって。ほうれん草の胡麻和えも綺麗に胃袋に収めてから、隆輝が持ってきた温かい紅茶の水筒を開けてひと息つくことになった。
「美味しかった……」
「満腹ぅ」
「美味しかったです、響也さん!」
「ふふ。お気に召して何よりです」
「俺のデザートも忘れないでねー?」
「食べる!」
「デザートは別腹!!」
と、沓木と真穂が豪語し出したので、早速隆輝の手作りデザートのお披露目となったのだが。隆輝から目配せがあり、美兎のスノーボールクッキーも出すように促してきた。
「じゃじゃーん! 俺特製のブラウニーバーと抹茶フィナンシェだよ!!」
黒と抹茶色の美しい焼き菓子。
それを見てしまうと、失敗したわけではないが美兎のクッキーが見劣りしてしまうのではと思った。
次回は日曜日〜




