第4話 先輩に聞く
お待たせ致しましたー
残りの休憩時間は、沓木達と社員食堂でしっかりとランチを食べてから仕事に戻り。
ただ美兎は沓木に聞きたいことがあったので、彼女だけを退勤時間前に休憩スペースに呼んだ。
「私に聞きたい事?」
「その……大変不躾な質問かもしれないんですが」
「? なに? 言ってみてよ?」
聞きたい事は、彼女の彼氏があやかしかもしれないと言うこと。
真穂が言うには珍しくないらしいが、どう言う経緯で付き合っているのかも聞きたかった。
たしかに怖いが、火坑ともし付き合えるようになったとしたら……アドバイスなども聞いてみたい。
「あの……信じられないかもなんですけどっ」
「? うん?」
「せ、先輩の彼氏さんって妖怪さんなんですか!?」
「! そうよ?」
「!?」
実に、あっさりと口にしてくれた。
美兎は自分の目をぱちくりとしながら見つめていても、沓木は態度を変える事なくにっこりと笑っているだけだった。
「なに? あいつも気にしてたけど、湖沼ちゃんが好きになった相手って妖怪?」
「は、はい! その彼氏さんじゃないのでご安心を!!」
「ふふ。そこを疑ったんじゃないわよ? あいつは接客はほとんどしないけど、多分湖沼ちゃんの霊力? がかなり上がったのを見かけたって言ってたわね?」
「それは、真穂のせいよ?」
「うん?」
「真穂ちゃん!?」
しみじみと沓木が語っている間に、影から真穂が出てきたのだ。しかも、本来の子供の姿で。
沓木のスラックスの裾をくいくいと引っ張ると、沓木は少ししゃがんで真穂と視線を合わせたのだった。
「あら、あなたも妖怪?」
「そうよ? 美兎の守護をやってる座敷童子の真穂って言うの」
「あ、座敷童子ってほんとにいるんだ?」
「実在するわよ? 真穂以外にも」
「へー?」
妖怪に大して驚いていない。
と言う事は、本当に沓木はあやかしと縁があり、しかも付き合っているのだろう。
「美兎が好きなのは、錦の界隈にある小料理屋の大将なのよ」
「ちょ、真穂ちゃん!?」
「錦かあ。界隈にもあんまり行ってないわね?」
「仕事終わったんでしょ? ショートカットさせるから、三人で行かない?」
「真穂ちゃん!」
「いいじゃない? それに今日は少し面白い連中も来てるのよ?」
「……面白い?」
「なになに? 何かあるの??」
とりあえず、社内で結界を張って……ジェイクを運んだ時のように襖を利用した移動妖術を真穂がやってくれた。
タン
タン
タタン!
真穂が手を横にスライドさせただけで、あの襖が出てきたのだ。沓木は手を叩いて喜んでいた。
「妖怪の魔法は面白いわね?」
「あの……先輩の彼氏さんは、どんな妖怪さんなんですか?」
「ん? 鬼よ」
「お、鬼?」
「そう、赤鬼」
「行くわよー?」
真穂が呼んだので、美兎達も慌ててついていく。はぐれはしないらしいが、ルートを外すとうっかり地獄に落ちてしまう危険も隣り合わせている妖術だそうだ。
やがて、到着したらいつもの界隈に三人で飛び込んでいた。
「久しぶりねー?」
沓木も初めてではないらしく、界隈の賑わいを懐かしそうに見ている。
「先輩は……彼氏さんと来るんですか?」
「ほんと、たまーにね? この辺だと、あいつの友達の店とか多いし」
「……もしかして、今行くお店も?」
「有り得そうね? あいつ顔広いし」
そうして、楽庵に到着した時に……『あ』と声を上げたので、やはり知っていたのかと少しびっくりしてしまった。
だが、中に入った途端。
いつもと全然違う、豪奢な装いの二人の男性が火坑の料理を食べようとしていたのに、さらに驚いてしまった。
次回は火曜日〜




