表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/204

第3話 大将の誕生日

お待たせ致しましたー

 楽養(らくよう)に行くのは夕方からなので、もう少し時間がある。


 コーヒーとお菓子で、まったりティータイムを過ごす。元彼ともこんな時間を過ごした記憶はほとんどないので……美兎(みう)は本当に嬉しかった。


 大好きな人と、ゆっくり過ごすだなんて……自分勝手だった青春時代を思うと考えられなかったから。無様な姿を見せたとは言え、一年前に火坑(かきょう)と出会わなければ、交際するまで進むとは思わなかった。


 今は響也(きょうや)の姿だが、美貌に磨きがかかった今の姿も素敵だ。猫人もどちらも火坑に変わりないから……美兎は本当に火坑に惚れ込んでいるわけで。


 水出しのアイスコーヒーをゆっくり飲んだ後、一緒に片付けをしてからふたりで手を繋いで楽養に向かった。服も火坑がアピールしたいと言う理由でデパートで買ったものに着替えて、通りを歩くたびにあちこちから微笑ましい笑顔を向けられたのだ。



(……火坑さんの恋人だって、認められてるのかな??)



 これまで、楽庵(らくあん)に通うまでも……道端のいるあやかしらから厚意的な笑みを送られることはあった。直接確かめたわけではないが……こうして、界隈の中を火坑と手を繋いで歩くだけで……服も新調したから、あやかし達は感じ取っているのだろう。


 人間でなくとも、生きている存在に変わりないのだから、種族違いで差別するのもおかしいことだ。ここに来るようになって、美兎は改めてそのことを学んだ。


 楽養にはすぐに到着したので、火坑が引き戸を開けてくれると。



『誕生日おめでとう!!』



 小さめのクラッカーがいくつも響き渡り、火坑もだが美兎にもテープやモールが引っ付いてしまう。


 店内は既にすし詰め状態で、楽養の面々もだが真穂(まほ)や兄の海峰斗(みほと)沓木(くつき)達を含める会社のメンバーやその恋人達もいた。美作(みまさか)芙美(ふみ)も居て、いつもの常連メンバーも揃ったわけである。



「弟子兼義息子の祝いだ。今日は遠慮なく食っていってくれや」



 霊夢(れむ)はさっそくと言わんばかりに、鯛の塩釜焼きを蘭霊(らんりょう)と一緒に持ってきたのだった。



「……師匠、やり過ぎですよ」

「たまにはいいだろ? 刺身よりも祝い向きだ」

「いーから、火坑は嬢ちゃんと座りな!」



 蘭霊からカウンターに座れと言われてから……絶対高そうなシャンパンを開けられ、花菜(はなな)が持ってきたグラスに全員分注がれた。



「改めて〜……火坑の大将、誕生日おめでとう!!」



 と、乾杯の音頭は真穂が仕切り、こちらが苦笑いしながらも賑やかなパーティーの始まりとなるので。美兎は火坑と少し笑い合うのだった。

次回はまた明日〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ