第2話 トリプルデート①
お待たせ致しましたー
夏、手前の界隈。
栄ではなく、名古屋駅の方にあるそちらで……表の人間界とは違ってレジャー施設がいくつか存在するらしく。
「……凄い」
規模は、土地などが確立されている人間界とは違い……空間をねじ曲げて存在しているため、ある意味どこまでも続いているのだとか。
そして、今美兎らの目の前にあるのは……隣の三重県に存在するレジャー施設に匹敵、あるいはそれ以上の規模を誇る大きな施設が広がっていた。
「今日は遊ぶよ〜!!」
提案者である、のっぺらぼうの芙美が一番乗り気であった。
「……はしゃぎ過ぎよ、芙美」
今日は美女モードの真穂が一番呆れていた。だがしかし、彼女の格好は芙美に負けず劣らず、用意はたんまりと持っていたのだった。
「……真穂ちゃんが一番楽しみにしてたじゃない?」
「…………」
美兎に言われると、恥ずかしくなったのか。つばひろの帽子で顔を隠したあたり……図星なのだろう。それから……今日誘った、恋人であり美兎の兄でもある海峰斗の方へと行ってしまった。少し、可愛らしいと思ってしまう。
「いやはや、こう言う機会でもないとここには来れませんからね??」
美兎の隣に火坑が来た。今日はメンバーに合わせて、猫人ではなく響也の姿でいた。今日も眩しいくらいに美しい。
「今日は本当にお仕事いいんですか??」
「はい。仕入れもちょうど落ち着いている時期ですし、たまには」
「よかったです」
今日はふたりきりではないが、火坑と遊びに出かけられるのは嬉しい。小さく笑うと火坑から優しく頭を撫でられた。
「…………俺、場違いじゃ??」
そして、ひとり。
ある意味今回のメインである美作辰也は……意気消沈しかけていた。趣旨を伝えていないのだから、当然ふた組のカップルがいちゃついているのに……自分はイレギュラーだと思ったのだろう。
「うふふ〜!! 辰也さんもちゃんと遊びましょう!!」
「へ、ぇ!?」
もうひとりのメインである芙美が、辰也の腕を掴み……どこにそんな力があるのか、大の男を引きずって受付の方に行ってしまった。
「……俺の一個上くらいだっけ??」
海峰斗がこちらに来ると……今日初めて会う美作についての疑問を美兎に聞いてきた。
「詳しくは聞いてないけど……たしか??」
「芙美はああ見えて、結構強引だからね? 今日の提案もいきなりだったし……」
まさか、トリプルデートを企画するとは美兎らも思わないでいたが。とりあえず、置いていかれないように美兎達も芙美らの後を追う形で向かった。
「うわぁ……」
受付をくぐれば、一度か二度くらいしか行ったことがない三重県のレジャー施設より、はるかに広い光景が広がっていたのだ。
次回はまた明日〜




