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第4話 苦手を克服?

お待たせ致しましたー

 イベント当日。


 風吹(ふぶき)真衣(まい)と一緒に(さかえ)の大食いイベントに向かう。


 大勢かはわからないが、人間に囲まれた中で食事をするのは……人肉を苦手としている風吹にとって苦痛でしかない。


 以前なら。


 真衣と二日前に、交際を始めたことで……風吹にもいくらか変化が出たのだ。想いを交わした時に真衣を抱きしめたせいか、人肉の香りに対する抵抗感が減ったのだ。


 食欲は湧いてこないが、不快感などがほとんど感じない。仕事先ではどうなるか、まだ出勤していないのでわからないが……きっと、大丈夫だと思う、と。


 だが、昨日ちょっとした買い出しに行く際。いつもならマスクをして出かけていくのだが……マスク越しに感じる臭いが軽減しているのを感じた。外しても、人肉の臭いは当然するが……ほとんど気にならなく思った。


 何故か、と考えた末に真衣との事を思い出した。あれ以外に考えられない、と。


 そして今日。栄に来ても問題ないくらいに……風吹は爽快な気分で街に出ることが出来た。


 真衣にきちんと話せば、彼女は大喜びしてくれた。



「じゃあ! 色んなところに行けるんですね!!」



 真衣はまだ付き合いたてなのと、風吹に比べればだいぶ年下だと言うことで敬語は外さない。逆に風吹はいいらしく、真衣のことも呼び捨てで呼んでくれと言われた。見た目通り、活発な女性だ。


 そして、気遣いが人一倍出来るからこそ、風吹が己があやかしなど関係なく惹かれたのだ。


 会場である、この前真衣と天丼を食べに行った店の前に着くと。少し横に大きめのイベントテントが設置されていて参加者の人数分のテーブルと椅子が用意されていた。


 風吹が事前に店員に渡された申し込み用紙の控えを受付で渡せば、数字の札を渡されたのでここで真衣と別れた。


 真衣は観客スペースでも、風吹の前に立とうと意気込んでいた。そんないじらしさが可愛くて、絶対優勝しようと心に決める。


 先に他の席に着いていた参加者は、風吹のような細身も居れば典型的な巨漢も居た。一応女性もいるが。


 とりあえず席に着けば、観客スペースの最前列に真衣が居たので手を振ってあげた。すると、彼女は心底嬉しそうに手を振ってくれたのだった。



「さあ、お待たせ致しました!! 栄の『清浄(しょうじょう)』名物の大食い選手権!! 司会は勤続五年の行田(ぎょうだ)が務めさせていただきます!! 今回の参加者は六名の男女。当店名物の天丼を、大会サイズに大幅に改良したものを食していただきます!!」



 司会は元気そうな男。店の常連でもある風吹は当然彼を知っていたが、普通の客と店員の関係だったのであまり話したことがない。


 あれほど活発的だったとは知らなかったが、今は関係がない。


 これから出される、大盛りの天丼をただ食すのみ。


 行田が他の店員に頼むと、二人でひとつの器を持ってくるらしく店内から天丼が運ばれてきた。



(う……わ!?)



 でかい。


 その言葉が真っ先に出るくらいの巨大さ。


 器はいつもの丼でないのは当然だが、おそらくすり鉢を用意したのだろう。


 それくらい巨大で、それくらい盛られた天丼も巨大。


 大き過ぎて、普通なら圧倒されるが……風吹にとっては食べたくて仕方がない対象でしかなかった。

次回はまた明日〜

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