EPILOGUE
読んで戴けたら嬉しいです。
あれから一葉の総てが止まった...............。
初夏の風が噎せかえるような花の匂いと共に、一葉の髪を徒に掠めて行く。
オレは立ち上がって一葉の髪に触れた。
髪の分け目から、あの時の生々しい傷痕が覗く。
オレは耐えきれず目を閉じる。
後悔してないと言えば嘘になる......。
自分がこんなにも愚かだった事に情けなくなる。
オレは一葉の総てを愛していた。
一葉の創る音楽、才能、感性.............。
もっと色んな一葉を愛していた。
人間性、仕草、癖..............。
その総てを奪って、何になると言うのだろう..........。
それでも、オレはこう思ってしまう。
一葉はもう他の誰も愛さない。
この楽園から飛び出して行く事も無い。
こうして抱き締めたとしても、この腕を拒絶する事もすり抜けて遠くへ去って行く事も無い。
本当に、オレはなんと愚かな生き物だろう。
オレはまた一葉の前にひざまずき、遠くを見るともなく見る一葉の目を見詰めた。
「一葉...............
キミにゾッとする告白をしようか.............」
一葉の膝に頭を載せた。
「オレはこうなって良かったと思っている...............
何故なら..............」
オレは行儀よく閉じた一葉の太腿を抱き締めた。
「一葉はやっと、オレだけの一葉になった...............」
顔を歪めオレは笑った。
「そう言ったら、キミは怒るだろうか............」
目を閉じた。
ここはかりそめの、偽の楽園だ。
目を閉じると耳の神経が研ぎ澄まされ、化けの皮が剥がれるように、遠くから車のエンジン音や人間が作る雑音が聞こえて来る。
多分人間なんてものも、そんなものなんだろう...........。
どんなに綺麗事を知っていてもそれだけに従って生きる事なんてできない。
上辺だけでも綺麗事で身を固め、内側で自分を正当化する言葉で埋め尽くし、誰を傷つけても自分の利益を優先する。
一皮剥けば皆、エゴの塊................。
自分の醜さに蓋をして、オレは一葉に笑い掛ける。
この見せ掛けの楽園に似合うように.................。
fin
最後までお付き合い戴き有り難うございます。
この作品も一回、頭から書き直しているんですよお。
もとあったマンガ通りに文章にしたら、活字中毒の娘に「あっさりし過ぎてもの足りん」みたいな事言われまして。笑
で、もっと深見をだす為にこの様な作品になりました。
お陰様で、凄くお気に入りの作品になりました。
楓 海さん、この手の皮肉の利いたバッドエンド大好きなんです。
またも暗ーい作品にお付き合い戴き有り難うございます。
今また、暗ーーーーっい作品書いてます。笑
主人公がシリアルキラーなので、色々勉強中です。
凄く腕が鳴ります。
書くのが楽しみで仕方ないです。
何処までリアルに美しく書くか、考えただけで顔が緩みます。笑
そんな変態な私ですが、もし興味がありましたらまた、お付き合い戴ければ嬉しいです。
それでは、コロナ増大してますがどなた様もお身体気を付けて。
see you~♪




