探知レーダーの赤点は敵
ズルズル、モギュモギュ!! ごっくん! ずずずずずーーーっ。
はい? なんて、食べっぷりだよ、矢口。女子力ないどころか、それ漢だ。
「なんで、とんこつラーメンは、麺が少なめなんだ? ほれ、そのチャーシュー頂き!」
矢口は、呆然とする俺のチャーシューを奪い去った。
こういうシュチエーションに憧れるが、可愛い女の子が女子力を活かしながら、キャピって感じで演じないとな…。矢口、悪いが、減点だ。
いや、ここが矢口の良いところかもな。
「とんこつ、気に入ったのか?」
「…うん。美味しい…」
「替え玉前提っぽいところあるもんな。ほれ、麺も喰っていいぞ」
それに矢口はアスリートだもんな。
これだけカロリーの高そうなもの食べても問題ないんだろう。
そして、会計時に、俺はクエストビュー通りに「お粥のお礼だ」と言っておごった。
流石に、「殆ど私が食べたんだぞ!?」とか、言ってきたが、片手でおでこを押さえながら会計を終わらせた。
なんと、おつりと一緒に、プリクラタダ券をゲットする。
ここでもらえたのか!!
ミニラーメン博物館を出ると、アミューズメント施設を探すためフロアマップを見ようとするが、あれれ? 何処かで失くしたことに気が付く。
まぁ、俺には『マップ』があるから。『マップ』を開くと自分の現在地と、赤い点が?
赤い点って…魔物…敵じゃなかったか!?
しかも、すぐ目の前!?
「あっ。雨宮」
数少ない友人である長野が、な、なんと!! B級グルメ研究会の山岸先輩と一緒にいる!?
「こんにちは、雨宮くん」
いろいろと衝撃的だった。
なるほど、いろんな意味で、長野…お前は敵だ!!
「こんにちは、山岸先輩…それと、何してんだ? 長野?」
「それは、こっちのセリフだ。矢口とデートか?」
「「えっ!」」
矢口と二人で息ぴったりにハモると、山岸先輩がおかしそうに笑った。
「何も隠すことないじゃない」
「い、いや…、その…」
俺が動揺して返事に困っていると、矢口が代わりに答えてくれた。
「水着を買うの付き合ってもらったんです」
「そうなの? いいわね。今年は、私も…まだ海もプールも行ってないわね」
「じゃ、みんなで、行きませんか!?」
おい、俺、何を言ってるんだ? しかし、クエストビューの『(オプション)プールに誘う』は、完了扱いになった。
「そうね。みんなで行きたいわね。楽しそう」