並んでまったり
「あ、雨宮が食べたいなら、私はどこでも良い。と、とんこつ…食べたこと無いから興味がある」
あっ。ぶっちゃけたな。
12時前だと言うのに、ミニラーメン博物館は、大盛況でかなりの行列が出来ていた。
俺は、クエストビューでクエストの進捗状況をチェックする。
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◎『矢口とおでかけ』
└◎アウトレットへ行く
├◎新しい水着を買う
│├◆(オプション)小胸ちゃん御用達のフレアトップを
││ 可愛いと言う
│└◇(オプション)プールに誘う
├◎お昼を一緒に食べる
│├◎(オプション)とんこつラーメンが食べたい
│└◇(オプション)お粥のお礼だと言っておごる
└◇(オプション)プリクラタダ券をゲットする
└◇二人で密着して撮影する
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あまり進んでいないな。アイコンは◇が未着手、◆が完了、◎が進行中となる。
さて、このクエストをオプション込で完了させた場合、俺と矢口の関係はどうなるのか?
今日は、どうにか友達以上恋人未満をキープしておきたい。
何故ならば、このシステムを…B級グルメ研究会の山岸先輩に試してみたい!!
狡いよな俺。うん、狡い…。
「おい、雨宮。前、空いたぞ」
並んでいた俺は、ぼーっとしていたため、前に並んでいた人たちが、進んでいたことに気が付かなかった。
このアウトレットは屋外型であり、日陰に並んでいるが暑い。
矢口も汗をハンカチで拭っている。そんな仕草や暑さで頬が少し赤くなっている矢口に心臓が高鳴る。
矢口に恋しようとしているんだ…。俺。
己の遺伝子が、体が、心が、矢口を求め始めていることに気が付いてしまった。
こういうのをミイラ取りがミイラになるって言うのか?
いや、なんか違う気がするが。
「お待たせ。そこの初々しいカップルさん、申し訳ないけど相席でいいかな?」
どんな接客だよ、と思いながらも、「はい、良いですよ」と答える。
俺と矢口は中年夫婦が食べ始めた席に案内される。
「メニューは…とんこつオンリーだな。それ以外ないのが本気っぽいけど…。矢口、とんこつ駄目だったら、俺が食うから、後で違う店に行こうぜ」
女の子がとんこつラーメンを食べるイメージがないのだ。
「う、うん…。わかった」と視線をそらす矢口。
あっ。隣りに座って気付いたが、俺、矢口の横顔って…ここまでしっかりと見たの始めたかも。
「な、なんだ?」
「いや、店内はクーラーで涼しいかと思ったが、意外と暑いなって」
しかし、【(オプション)プールに誘う】っていうの…俺には難易度が高すぎる。
これは完全にデートに誘っているようなものじゃないか?