クエストビューってもう予知だろ
矢口は既にマンションの玄関で待っていて、俺を見ると嬉しそうに手を振ってきた。
あれれ?
相手が自分に好意があるとわかっただけで、四割増しに可愛く見えるぞ。
同じB級グルメ研究会の山岸先輩を狙ってる俺としては、ここで浮気を…。
というか、山岸先輩は、田端先輩と付き合ってるという噂もあるし…。
『あーっ。雨宮じゃ、無理、無理。だって、お前といて楽しめる女なんていねーから』って、数少ない友人でる長野にボロクソに言われるくらい…俺は女の子の喜ばせ方を知らない。
ならば、簡単お手軽な矢口で良いのではないか? というアンサーだ。
誰でも良いの? Yes
プライドは? いらん。そんなもの。
いやいや、決めるのはまだ早い。
今日が終わってからでも良いではないか。
明日出来ることは今日やらない主義の俺は決定を先延ばしにした。
「暑いのに待たせてごめん」
「いや、今出てきたところだ」
「買い物って、市内、市外?」
大学とアパートのある市内には、生活する上では困らない程度の店舗しか無く、流行り物や遊び心のある商品を買うなら隣の市に行く必用がある。
「アウトレットに行きたい」
さらに電車で40分ほど行けば、そのアウトレットって場所へ行くことが可能だ。
「いいよ。バスは…この時間だと30分に間隔だっけ?」
「だな。暑いが、駅まで歩いていくか」
たわいもない会話なのに矢口は、ニコニコと終始笑顔。
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◇『矢口とおでかけ』
└◇アウトレットへ行く
├◇新しい水着を買う
│├◇(オプション)小胸ちゃん御用達のフレアトップを
││ 可愛いと言う
│└◇(オプション)プールに誘う
├◇お昼を一緒に食べる
│├◇(オプション)とんこつラーメンが食べたい
│└◇(オプション)お粥のお礼だと言っておごる
└◇(オプション)プリクラタダ券をゲットする
└◇二人で密着して撮影する
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やばい…。
クエストビューで矢口の考えがまるわかりなんだけど。
問題は、これらを全て達成すると、矢口との距離が一気に縮まるということだ。
つまり矢口と…付き合う可能性が、現実的なものに変わる…。
今年の夏を矢口と一緒に過ごすのか、家で引きこもっているのか、それとも…この異世界のなんちゃってチートを使って、他の女の子を彼女にするのか。
実際、矢口を可愛いと思い始めてるし…。
一緒にいて楽しいし…。
楽ちんだし…。