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一人目の仲間

いつも幼女主人公で、スッキリしない話ばかり書いているので、大学生男子の恋愛にチャレンジしてみます。

 地方の私立大学に通う雨宮 崇は、目覚めると周囲を見回す。

 自室のベッドの上で目覚めた事に驚く。そして部屋の中は朝から蒸し暑かった。


「俺は…クリアしたのか…」


 枕元にあるスマホで日時を確認する。『20XX年8月5日(水) 6時31分』と表示されていた。

 異世界で覚えていた、この世界での記憶は、20XX年8月4日の夜だった。


「俺は…普通に寝て…起きただけ?」


 いや。そんなはずはない。

 確かに、迷宮型ダンジョンという異世界に転移させられ、生死の境目を何度も経験しながら、5年におよぶダンジョン攻略を、仲間と共に達成して…愛するセリスと別れた記憶は…決して、夢なんかじゃない!!


「いや…夢だろう…すげぇリアルだったけど…」


 大学も今は夏休み。バイトのローテーションは…水曜だから…休みで1日暇だ。


 ピンポーン! はっ? 朝っぱらから…誰だよ? 玄関モニターもない安アパートのため、玄関までと言っても、1LDKである。ドアの覗き穴から…って、誰だよ塞いでるの見えないだろ!!


 諦めてガチャっとドアを開ける。


「よっ。って、元気そうじゃないか? 昨日は死ぬ死ぬ煩かったのに、見舞いに来て損したぞ」


 こいつは高校からの同級生で、胸は小さめ髪は短めのボーイッシュで元気な矢口 沙織だ。


「うん? 待て、俺…そんな記憶が…ないけど?」

「何を言っている? 大丈夫か? やっぱり熱がるんじゃないか?」

 

 ぺたっとおでこを柔らかい掌で触られると、こいつも女なんだなと再認識する。


「ごめん、まだ寝ぼけてるのかも、俺、今起きたばかりだから、と、取り敢えず中は入れ」

「相変わらず暑い部屋だね。今年も扇風機で頑張るのかい?」

「貧乏学生に何を求めてる」

「本当に元気そうだね。おかゆ作ってきたんだけど…」


 矢口のマンションから俺のアパートまで徒歩5分の距離だ。


「矢口が? 俺に? ってか、お前、料理できたのかよ?」

「見た目で判断するんじゃない! いつも自炊だぞ! 元気だけど…お粥食べるかい?」

「うん…」

「ちょっと台所借りるぞ」

「いや、それ、まだ温かいだろ? それでいいよ。暑いし」

「中途半端なお粥食べて、後から料理下手とか言われたくないのだが」

「そんときは、また別の料理作ってくれよ」


 テーブルの上に置かれたお一人様用の土鍋を開けると、予想に反して美味そうな香りが!


 そこまで熱くないから、ダイレクトに土鍋からお粥をレンゲですくって頬張る。


 モグモグ…。うん? マジで美味い! ゴクン…。

「どう? 美味しい?」


 隣に座った矢口が、ジリジリと迫ってくる。


「これ本当に矢口が作ったのか? ルームシェアしてる…後輩の伊藤さんが作ったんじゃないの?」

「あかねは、見た目に反して料理はできない。いつも私が作っているんだぞ」


 水を取ろうとしたとき、偶然に矢口と肌と肌が触れ合う。


 お互いが「「あっ」」と声に出し…見つめ合った後、「「ごめん」」と言った。


 そのとき俺が異世界から帰ってきたことが確定した。


 『矢口 沙織がパーティーに参加しました』というメッセージが、視界に表示され頭に響いからだ。


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