何ともない殺人
私が階段を下っている時に突然、前を歩いている人を蹴り落とし、殺したとしよう。
或いは道を歩いている時に、これも突然に目の前にいる人を鈍器で殴り殺したとしても良い。
とにかく私は、目の前にいる顔も名前も知らない、赤の他人を突発的に殺害したのだ。
しかし深く考えなければ、つまり相手の事など考えなければ、私は罪の意識を感じることはない。
そのまま何事もなかった様に家に帰り、夕飯を食べ、風呂に入り、そして寝る。
私の生活は何も変わらないし、この世界も何も変わらない。
ただ一人の人間が死んだだけのことは、事故や病気が原因でなくても、この世界に何も影響など及ぼしはしない。
何十億という数の前において、一というのは無に等しい。
人一人の命に大した価値などない。
この事実の前には例え誰が死のうが殺されようが──或いは殺そうが──この世界は何も変化しない。
誰が殺されても、1日は24時間で、4年に1度閏年が来る。
事実、私はこうして昨日と同じ道を歩いている。そうしてこれから家に帰り、夕飯を食べ、風呂に入って寝るのだ。
この世界は昨日と何も変わらず、そして明日も何も変……
最後までお読みいただき、ありがとうございます。今作品は、1つ目の投稿作、つまり処女作です。至らぬところがありましたら、ご指摘やアドバイス等頂けると幸いです。
さて、ホラーはいくつか短編で書いたことがあるのですが、どうしても内容が安っぽくなってしまうのが悩みです。人が怖いと思うモノ、或いは自分が怖いと思っているモノを題材に書く訳なのですが、その怖さを伝えるのがどうにも難しい。
例えば、無限ループとか、ですね。書きようによってはとてつもなく恐ろしい物になるのです。しかし、作品中に「これは無限ループです」と書いてしまうと、つまらなくなってしまいそうで、これはまた、作者にとってはある意味怖い。
このままでは本編よりあとがきの方が長くなりそうですので、続きはまた、別の機会に。
最後に、こんな下らないあとがきまでも、最後まで読んでくださった方に感謝を。