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第1章 事故

皆さんはあの世があるとお思いだろうか?

もし、あの世があるのならどんな所なのだろうか?


異世界ファンタジーな所?

それとも、天国のようにキャッキャッウフフが出来るような桃源郷のような所?

はたまた、地獄のように阿鼻叫喚な恐ろしい所?


まあ、そんなことはいずれ死んだら分かること。

今、授業中に考えてもしょうが無いことだ。

今日もこの授業が終わったらさっさと帰ってゲームをしなくては。

幸い、今日は水曜日。授業は担任の先生だ。

SHRも恐らく無いだろう。


「はい。今日はここまで。この後、SHRをするから帰らずに待ってろよ」

くそっ!

何でこんな時にSHRがあるんだよ!

早く終わらせてくれ!


SHRが終わると、颯爽と製鞄を持って帰ろうと、製鞄を手に持って準備する。

「そんじゃ、これで今日のSHRを終わら」

ここで立ち上がる準備!

「せる。以上」

今!


「おい、竹内」

誰だよ!こんな時に話掛けてくる奴は!

て、一人しかいないけど。

「何だよ。僧院寺。俺はこれからゲームをしに急いで帰らないと行けないんだ」

「それでまた徹夜でゲームをして、明日授業中に寝るんだろ。それではいけないぞ。竹内。今日、うちの寺に寄らないか?」

こいつは寺の子で何でも 生真面目にやる奴だ。

本来、俺のような不真面目な人間とは合わないはずなのだが、何故か馬が合うんだよな。


「いや、今日は忙しいから。それじゃ!」

「おい!待てよ!お~い! そりゃ、無いぞ!おい

!」

やべ!逃げなくては!

俺の逃走本能がそう告げている!

俺は廊下を風のように走り抜ける。

「こら!廊下を走るなー!」

流石、 委員長を務めているだけのことはある。


でも、そんなの俺には関係ない。

今の俺には、ゲームをするのが一番だ。

ゲームは、今の俺の生きがいなんだ。


靴箱を出てから、右に出たところに翠坂学園の全員のAI自動車が置いてある。

お金の流れや市場経済、交通弁、人の行動など全てをデータベース化し、統計で計算し、AIによって微調整されるようになったこのご時世。


事故などの環境要因で死ぬ事は殆ど無くなった。また、遺伝要因に関しても、科学技術の進歩により、遺伝性の病気を事前に知り、対応する事で殆どの病気を未然に防ぐ事が出来る。仮に、多少遅れたとしても、この時代の医療技術なら余程深刻でない限り、完全に治す事が可能だ。


そんな、時代のゲームは最高だ。

ARやVRを駆使したゲームがゲームの分野の大部分を占めている。

特に、今、人気なのはルイギアという機器を使ったARゲーム「ファイヤー・ブレイク」だ。

ルイギアは、幼少期、早い人では生誕6ヶ月で付けるAI器具だ。

ルイギアは、耳に付け、機器から常に微弱な電磁波を発しており、そこからその人の行動や些細な表情、生理的な反応を読み取り、その人の考え方の癖や仕草、行動の癖、食事の嗜好をデータ化することで将来起こりうる病気や行動を 予測する。さらに、ARやVRのゲームもその機器を通じてプレイをする事が出来る。


「利用者ナンバー8546536。利用者名、竹内 葵・・・」

と自動的音声が本人確認と利用時の注意事項を述べ、強化ガラスで作られた扉が閉まる。

そんなの誰が守るかよ。

今時、事故なんて起こらねえよ。


スイッチを押して自分のAI自動車に乗って移動する。

家に帰る途中の道路で隣のビルで新作VRゲーム「ショッキング・ショット」の広告が見えた。

俺は強化扉を開けて広告を見る。

この時、何故自分が扉を開けたのか分からない。

この後に起こることを考えればなんて軽薄な行動をしてしまったのだろうと思う。

扉の外でも内でも見る景色は全く一緒なのに。

今思えば、「災害は、忘れた頃にやってくる」かの偉大な日本の物理学者、寺田 寅彦が言ったこの有名な言葉に耳を傾ければ良かったと思う。


「うおーー!すげーー!!『ショッキング・ショット』かぁ。あの超有名ゲーム会社「ライオン」の最新作!!!あ~~~!早くやりてぇぇぇぇ!」


ゴッ


頭に強い衝撃を感じた。

あ、やべー。

視界が意識が無くなっていくと共に段々暗くなっていった。


その時、遠ざかっていく頭でこんなことを考えていた。

ああ、これじゃ、災害は忘れた頃にやってくるじゃなくて、事故は忘れた頃にやってくるだな。

もっとちゃんと注意事項を聞けば良かった。


やっぱなしすげぇな。

寺田 寅彦。

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