~第一話 マイナス地点~
現実ではあり得ない体験を現実の範囲内で妄想してみました。
~登場人物~
・崎野 智香 (さきの ともか)=本作の主人公
・克爲 清雅 (こくい せいが)=スパーお坊ちゃん
・女生徒 (矢部 菖蒲 やべ あやめ)=通称やべあや
・克爲 伸一 (こくい しんいち)=清雅の父 克爲財団の代表
・克爲 吾郎 (こくい ごろう)=清雅の祖父 克爲財団の創始者
~入口~
高校生になって約1週間。
クラスである程度のグループが出来はじめた中、ぼっちでアクセサリーと化したイヤホンをつけ昼食を食べている私が嫌に目立つ。
...イヤホンは気安めになる。
周りは気にしていない、そんなアイデンティティを与えてくれる気がするからだ...
もぐもぐ
がやがや(にぎわう教室)
自分で言うのもなんだが私はこうなることに薄々感づいてはいた。
元々私は東京に憧れ上京した。
何とかなるだろうと思って高校生になったはいいものの、
前から親しい友人もいない上に
放課後は奨学金のための勉強と生活費を稼ぐことで精一杯。
おまけにコミュ障だ
はじめは転校生というステタースから何人か興味を持ってくれたが、
会話を弾ませることが出来ない私から離れていった
(来週からは教室以外の所で食べようかな...)なんてことを考え一つため息をした、
そんな私を気にかけてか
後ろからとんとンと二回肩を叩かれた。
私は予想外の出来事に体がビックとなった。イヤホンを外し、口にしていた食べ物を飲み込み
コミュニケーションがとりたいのか取りたくないのか不甲斐ない感情を抱きながら
振り返る
「ッブ‘++A‘Aっ!?」
変な声が出た。
なんてったて振り返るとニコニコとしながら、しゃがみ込んでいる克爲くんがいるのだ。
その驚きに食べカスとつばも自重できなかったらしい彼の顔に食べかすとつば吹きかかる。
「ごっごめんなさい!」
・・・(静まり返る教室)
視線が自然と集まる。
それでも何事もなったかのようにニコニコしている克爲くんに慌てて胸ポケットに入っていた熊衛門のハンカチを差し出した。
「ありがとう(ニッコ」
そういうと彼は自分の顔を拭きはじめた
(...///)
ざ・ざわ・・
私は克爲くんの笑顔に一瞬気をとられたが教室の雰囲気で現実に戻される。
ギュッ、そんな突き刺さる視線が私に向いているおそらく女子のものだろう、
ドタバタしていてあまり呑み込めていなかったが私の前にいるのはあの克爲 宏太なのだ。
顔が熱を帯びているのがわかる。
どういう状況なのか私自身が認識したのだ。
...(よりによって克爲くんに唾と食いカスをかけてしまった...本人はあまり気にしていないみたいだけど教室の雰囲気が気まずすぎる; ;第一私に何の用件があるのだろうか?今まで話したこともなかったのに...)
克爲 宏太はそこら辺の一般人とはわけが違う。常に周りに人がいて校内カースト上位であるというだけではない。
そこらの一般人とは違うのだ、克爲財団の克爲 伸一の跡取りとして生まれた彼は小さい頃から英才教育を受け、
ピアノ、テニス、数学オリンピックで目覚ましい成績を残し、
現在は財団の子会社5社の代表取締役を任されている。しかもハーフでかなりの美形人々の理想を実在化させたようなやつだ。(参考:Wikipedi〇)
因みにこの高校の理事長も克爲 吾郎、彼の祖父だ。
そんな彼が田舎から上京し、友達もいない私に声をかけてきのだ
ざわ・・ざわ・・
...(あれ、そう言えば一人で声をかけてきたの?まわりに誰も、、、)
・ざわ・・ざわ・・
「ちょっと、あんたほ・・」
「崎野さん!大事な話があるんだ。
放課後、B-3で待ってるよ(ニコッ」
女生徒の声をさえぎるように克爲くんが私に話かけてきた
・・・!
私は何が何だかわからないまま、
教室に異様な空気を残しクラスをあとにする彼に
ハンカチを持っていかれたことに5限目の途中で気づいたのはまた別の話。