7話
「ちょっと待って紺野さん!」
ガッと近くに居た私の腕を先生が掴んだ
絡んだ視線をそらす
「今から帰るのに先生が足止めしてるんじゃん…」
「そういうことじゃないの、ルールはルールでしょ?反省してないの?」
きつく私を睨む先生に目を伏せた
「っていうか先生、愛桜にキツいよね、授業中とかも…」
友希ちゃんが私を掴む先生の腕を離してくれる
「別の理由ありそうだよね?いつもいつも愛桜ちゃんにだけ」
羽音ちゃんの言葉に少し怒った表情をした先生とまた視線がぶつかる
「いい加減なこと言わないで…先生はただみんなに道を踏み外してほしくないから」
もういっぱいだった
「じゃあ…消えてよ」
「えっ…紺野さん?」
もう、止まらない
「私の前から消えてよ!!」
先生を強く突き飛ばそうとした
だけど腕をガッと強く引っ張られバランスを崩しそのまま
ガタンとすぐ横の車にぶつかった
「愛桜!言っていいことと悪いことがあるだろ!」
「拓人…」
如月先生を守るように前に立ちはだかる拓人さん…
安堵した目を拓人さんに向けた先生と優しく受け止めたような表情をした拓人さん
痛い…
胸が痛い…
「大丈夫愛桜?酷い拓人さん…」
友希ちゃんの言葉にハッとした顔をして拓人さんが伸ばしてきた手を叩いた
パチン―
「愛桜…」
「…ごめんね」
顔を見れずに伏せた頬を涙が流れていく
好きなだけなのに、こんな私が嫌になる
ヤキモチや八つ当たりだってわかってる…
「わりぃ、大丈夫か?」
声から伝わる心配を含んだ優しさにまた涙が流れた
「私が消えるよ」
そう俺を見つめた愛桜は酷く辛そうな顔をして泣いていた
「愛桜?」
悲しそうに肩を震わせ愛桜は友希ちゃん達と帰っていった
「ごめんね拓人…」
紀乃が俺の腕を握り申し訳なさそうに謝る
「いや。悪かった
ついカッとなって…」
自分の言葉に冷静になっていく。
カッとした理由がどんどんどす黒く胸を締め付けていく
俺…