3話
「ハッ!」
バッと起き上がり辺りを見回した
「…拓人さんの部屋?」
微かに香る拓人さんの香水の匂いに胸が高鳴っていく
傍に居るのに理由なんかないまま、今日まで来たから…
一歩進みたくても進めなくて、関係を壊すことも進めることもとても怖い
好きだから、好きすぎて、どうしていいのかも解らなくなる
「ダメダメ…」
暗いこと考えないようにしなきゃ…
街の灯りが窓越しに見えるけど部屋は暗い
電気をつけようと近くのスタンドに手を伸ばした時
ガタンと何かを倒してしまい手を伸ばし音の元凶を探り当てる
そこには、小さな光に照らされる私の知らない拓人さんと
寄り添う女の人…
「…彼女?」
その写真が現実を私に伝えようとしてる
心も体も震えていく、行き場をなくしそうな思いに目を瞑った
「違うよね…拓人さん…」
――――――――
「愛桜!!」
「う…ん」
「愛桜!起きろ、学校遅れるぞ?」
「へ?もうそんな時間?」
ガバッと起き上がると優しく笑う拓人さんが居た
「どこも痛くねぇか?」
「うん…」
「さすが酒豪の娘だな」
「あんまり嬉しくないよぉ。
あ~せっかくの拓人さん家だったのにな…」
「なんだそれ、制服取りに行くんだろ?家まで送る。あっ母さんが弁当持ってけって」
「いいよ、近いし歩いて帰る」
「黙って送られとけ、
そういや昨日おばさん達帰ってきてないみたいだぞ?」
「まあ最近よくあるの、仲良すぎも困る」
「…だな」
愛桜はいつもと変わらない。
昨日のキスはもう覚えてないみたいだな…
そう思うとホッと胸をなで下ろす自分が居た